第46話 リディアーヌの心内
王城から別邸へと戻ると、お父様は王家とのやり取りを説明するために、別邸に居る者全員を大広間へ呼び集めたの。
「リディが王家との辺境伯家で交わされた盟約の遵守及び、内容を周知徹底をすること。そして王からの謝罪で今回の件を許すと言った。私は甘いと思ったが、リディの意思を尊重することにした。また同じようなことがあれば、そして次はないと最後通告をした。皆が厳しい目で王家の動向を確認し、盟約違反があった場合は私に報告をするように。その時はレイバック辺境伯家は王家を潰す。判ったな!」
「「はっ、かしこまりました」」
「リディが入学してからは、アルバロンとアンジェラの2人を教師として、学園内で目を見張らせるが、ファビオを含めた従者5人もしっかりと王家に注意を払うように」
「「かしこまりました」」
お父様の厳しい言葉に、周りの者達は『ピリピリ』とした緊張感を持って返事をする。私の心が弱いからみんなに心配をかけ申し訳なく思っていると、叔母様がファビオに声をかけた。
「ファビオ、学園に入学すれば第1王子と第2王子がリディを誘惑してくる可能性が高い。十分に気をつけるように」
2人の王子が私を誘惑するなんて言葉を聞いて、驚きながら叔母様に聞き返す。
「えっと……、叔母様? それはどういう意味ですか?」
「謁見の間で王が言っていただろう? 王家はリディのことを王妃として迎え、辺境伯家と深い繋がりを持ちたいんだよ」
「!?」
私だけではなくファビオも、叔母様の言葉を聞いて驚き言葉を失う。護衛の4人とサンドラも同様に驚いているようだった。
「アンジーの説明では不十分ね。リディはちゃんと『愛する婚約者がいる』と言って断ったわよ。だから王家と辺境伯家の間では、この話を進めることはないんだけど、自由恋愛でリディと恋仲になる為に、王子達から仕掛けてくると言いたいのよ」
「ママッ!」
「あら? リディ、顔が真っ赤よ? 自分で言ったことでしょ?」
「そうだけど……」
国王に断る時に伝えた私の思いを、みんなの居る前で明らかにされてしまい、恥ずかしさMAXになり体中が熱くなってしまった。もう1人の当事者になるファビオの方を『チラッ』と見ると、私と同じように真っ赤な顔をしていることに驚く。
(ファビオの顔が赤い!もしかして私のことを意識してくれているの?)
私は巻き戻ってからは、ファビオの幸せだけを考えてきた。そう思いながら接するうちに『好き』という想いが芽生えた自覚があるけど、同時に私は相応しくないという想いもあったの。でも、ファビオが少しでも私に好意があるのなら『好き』という想いを全面に出しても良いのかと思った。
(確かめるのは怖いけど、学園での生活が始まる前に私の想いをしっかりと伝えるべきかな?)
領地へ戻ったら、私の気持ちの全てをファビオに伝えようと心に決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます