第29話 入学試験の内容
王都にあるレイバック辺境伯別邸に着くと、執事長のゲイルと家令達から手厚い出迎えを受ける。
「奥方様、大変ご無沙汰しております。そして姫様を迎えることを心待ちにしておりました。さぁ、屋敷へお入りください」
「ゲイルありがとう。私もリディが生まれる前に来て以来だから、王都で過ごすのを楽しみにしていたのよ」
お母様の言葉の後に続いて、私も出迎えてくれたゲイル達に挨拶をする。
「初めまして、リディアーヌです。手厚い歓迎に感謝します。入学試験を終えるまでと短い期間たけどよろしく頼みます」
「身にあまるお言葉に感謝致します」
簡単な挨拶を済ませると、私達はそれぞれの部屋へと案内される。サンドラは私の付き人なので同じ部屋へ入ると、早速荷物の荷解きを始めた。入学試験に向けた勉強と同時に、メイドとしての教育まで受けていて、手際よい作業に感心した。
「サンドラありがとう。入学試験とメイドの勉強は大変だったでしょ?」
「いいえ、姫様の役に立てることが嬉しくて、楽しく学べました」
私の周りの者は本当に優秀だ。いずれはファビオとレイバック辺境伯家の為に、その力を発揮してくれると思うと頼もしい限りだと思う。
荷解きを終え、部屋着に着替えるとお母様の待つサロンへ向かう。入学試験までの打ち合わせを始めると、アンドレアスが入学試験の内容を教えてくれた。
「高等科学園の入学試験は明日で、学術試験・武術試験・魔術試験の3科目を3日に分けて実施されます。試験に合格すると、クラスは成績順でSクラスからIクラスまでの10クラスあり、各クラスに10名ずつ振り分けられます」
合格後のクラス分けを聞いて、巻き戻り前の私はDクラスだったことを思い出した。今回は努力をしたから、なんとかBクラスに入れるかな? なんてことを思っていた。
「次に3つの試験についての説明をします。学術試験は語学と数学の2教科による筆記試験。武術試験は抽選で対戦相手を決めて、対戦方式による模擬戦闘試験。魔術試験は得意魔術による効果測定試験になります」
学術と武術は良いけど、魔術に関しては無と光という特殊な属性なので、他の受験生と同じ試験で良いのか疑問に思った。そのことをお母様に相談する。
「ママ、魔術試験はどうすれば良いの?」
「魔術試験では光属性で治癒を披露すれば良いわよ。治癒は白属性で使える者は少ないけど、ママの娘だから大丈夫よ。それに対策も万全だから気にする必要はないわ」
ヴァレンティ聖教国では、癒しの聖女と呼ばれていたお母様。その娘なら治癒を使えても不思議ではないみたい。万全の対策をしているといったけど、流石に強引なことはしないだろうと思うことにした。
入学試験の打ち合わせを終えると、早めに夕食を取って旅の疲れを癒す。私とお母様は別々の部屋だけど、寝る時に別になるのはお母様が拒否したので、お母様の部屋で一緒に寝ることになった。
そして一晩が明けて入学試験を迎える。私達は高等科学園に向かって、初日に実施される学術試験に挑むのだった。
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