第27話 2人の想い

§リディアーヌの想い§

 四男爵家の令息達の成長は著しくし大したものだったけど、私とファビオの成長も中々のものだと思う。


 ファビオの身長は180cmを越えて私より遥かに大きくなり、筋肉がついて男性らしい体格になっていた。贔屓目なしにファビオ以上に格好良い男性は居ないと思うけど、口にするとお父様が拗ねるので心に留めているの。


 武術の腕前は剣師・矛師・盾師クラスになった。武術の階級は士→師→王→聖→神の順になっていて、最強と呼ばれるレイバック辺境伯軍でも士以上の階級は2割程度しか居ないのに、14歳で士より上の階級の師になったのは、レイバック辺境伯の12歳に次ぐ早さらしい。お父様っていつも『デレデレ』してるけど、本当は凄い人なんだと感心した。


 さらに魔術の方も4属性の全てが上級クラス。魔術の階級は初級→中級→上級→王級→神級の順になっていて、上級以上を使えるのは全ての魔術使いの1割以下と非常に少ない。14歳でそれ超える階級に至ったのは、王級だったお母様だけみたい。本当に私は凄い両親を持ったと思う。


 まぁ、ファビオは全てにおいて完璧だから、絶対に女性にモテると思う。だから『素敵な人が現れたら身を引くから遠慮なく言ってね』と伝えたけど、『リディより素敵な人なんてこの世に居ないよ?』なんて冗談を言ってくれるの。私程度の女性なんてたくさん居るのに、そんなことを言ってくれるファビオは本当に優しいと思う。


(ファビオ、大好きだよ)


§ファビオの想い§

 リディは成長するにつれてお義母様に似てきて、誰もが見惚れるほどに綺麗になった。

 

 武術と魔術の成長は著しく、お義父様が言うには剣術の腕前は剣師、弓術の腕前に至っては弓聖らしい。14歳で聖の階級になった者の記録は過去にないらしい。そして光と無の魔術は前例がないので階級は不明だけど、アルバロンが言うには光属性は治療・攻撃・防御の超万能型で、無属性は未だに解明できていないが、攻撃に関しては全ての属性に有効らしく、お義母様以上の魔術使いの可能性があるらしい。


 これ程までに素晴らしい成長をしているのに、お義母様は周りの者に対して『このことを本人に伝えないように』と緘口令かんこうれいが出されている。理由を聞くと『ファビオより優秀だと判ったら、気を遣って努力を止めはず』とのことだった。


 リディはそんな事情なんて知らず、いつも僕にこんなことを言ってくる。


『ファビオに相応しいと思われる為に、もっと頑張るつもりだけど、好きな人ができたら遠慮なく言ってね? その時は喜んで身を引くから』


 僕がリディ以外の人に好意を抱くなんてありえないのに……、これから始まる高等科学園での生活では、他の男にリディを奪われないか不安で仕方がない。僕はもっと努力をして、全てで他を圧倒する存在になり、誰にもリディは渡さないと誓った。


(リディ、大好きだよ)


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