第25話 感謝と忠誠

 レイバック辺境伯領で開かれたお披露目会は、男爵家の令息達が起こした騒ぎがあった為に、残念ながら中止になった。


 たくさんの来場者は、開場から去って行く前に私の元を訪れて、ファビオとの婚約に対して祝いの言葉を伝えてくれた。それ以外にも、問題を起こした4人の令息に、慈悲深い対応をしたと称賛された。身内にしか褒めらたことがなかったので、称賛の嵐に照れくさい思いをした。


 そして、殆どの来場者が会場をあと、四男爵家の当主夫妻と4人の令息が私達の元にやって来た。厳しい処分を受けたにも関わらず、4人の表情は澄みきっていて完全に毒が抜けていた。そんな4人の令息が私の前に来ると、一斉に片膝をついて跪いたのだ。


「「我々に更生の機会を与えて頂き感謝致します。必ずお嬢様の期待に応えてみせます。今日この日より我ら4人はお嬢様への忠誠を誓い、必ず騎士となってこの命がある限りお護りします!」」


 その真剣な眼差しから、厳しい更生教育を乗り切ってくれると確信した。そして立派な騎士となり忠誠と命を捧げると言った。その想いに応える為に、私なりの激励の言葉を伝える。


「判りました。厳しい更生の道となるでしょうが、あなた達なら大丈夫だと信じてます。見事に更生し騎士となった暁には『リディアーヌ』の名を呼ぶことを認めましょう。でも、呼び捨ては両親とファビオ以外に認めないからね?」


 最後は少し笑いながら、ちょっとだけ意地悪な言葉を入れて伝えると、4人は薄っすらと笑みを見せて大きな声で返事をする。


「「かしこまりました。必ず期待に応えてみせます」」


 令息達が会場を去ったあとは、四男爵家の当主夫妻が改めて謝罪を伝えて会場を後にしたところで、大波乱のお披露目会を終えたのだった。


§アンドレアス視点§

「ママ、四男爵家はレイバック辺境伯家の為に仕えてくれてるの。令息達の行為は少し度が過ぎたかも知れないわ。でも、私と同じ12歳なのだから未熟なのは当然でしょ? どうか更生の機会を与えてあげて欲しいの」


 お嬢様のご慈悲により俺は更生の機会を頂いた。本当なら極刑を言い渡され、メイソン男爵家は脱爵されていてたはずなのに……。


 俺のとった行動はそれほど愚かなことだった。なにせ俺は両親から完全に見放されたのだから。それなのに、侮辱されて一番傷ついているはずのお嬢様は、こんな俺を庇ってくださったのだ。


 リディアーヌ.レイバック辺境伯令嬢をどんなことからも守り抜く、お嬢様に救われたこの命『リディアーヌ様の騎士』となり捧げるのだ。


 俺たち4人はお嬢様へ忠誠を誓い、厳しい更生教育を全うしてリディアーヌ様の騎士となるのだった。


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