第24話 愚か者達②
「私のリディを侮辱しただと!」
お義父様はそう言って4人の令息に殺気を向けると、顔色は青を通り越し紫になり失神しそうになっていた。
「「あわわわ……」」
お義父様の殺気だけで4人を殺してしまうのではないかと思った。私が無能な我儘娘なのは事実だけど、そのことを祝いの場で口にするのはどうかと思うところはあったけど、4人はレイバック辺境伯家に仕える男爵家の令息で、将来はファビオの忠臣として仕える者だ。私へ侮辱程度で失う訳にはいかないと思った。
「パパ、怒らないであげて。彼等は将来のレイバック辺境伯家を支える男爵家の者、間違いを認めて謝罪すれば良いだけのことだよ」
私がお父様に声をかけると、厳しかった表情が少し柔らかくなった。殺気が和らいだおかげで来場者は立ち上がり、4人の令息達もなんとか気絶せずに済んだようだ。
「はぁ、はぁっ、リディアーヌ様ありがとうございます」
アンドレアスは私がお父様をなだめたことに感謝の言葉を伝え瞬間、4人の周囲だけが凍りついたの。お父様は少し落ち着いたけど、お母様のお怒りモードは全開のままだった。
「お前達はリディの名を呼ぶことは許されていないはずなのに、どうして名を呼ぶのなんて万死に値するわよ? その程度の常識を持たつずにこの場に顔を出させるなんて、男爵家は今まで何を教育していたのかしら?」
「確かにそうだね。こんな愚息に育てた男爵家にも問題がありそうだね」
アンドレアスが私の名を口にするという失態を犯したせいで、令息だけではなく男爵家にまで怒りが向けられた。お父様とお母様の言葉を聞いた四男爵家の当主夫妻は、顔面蒼白の状態で駆け寄って深く頭を下げて謝罪をした。
「愚息アンドレアスのお嬢様に対する失言、誠に申し訳ございません。廃嫡させ市井にくだらせますので、極刑だけはお許しください」
その様子を見たお母様が私を抱き寄せると、冷めた口調でメイソン男爵に向かって語りかけた。
「それは当然のことよ。そのバカを育てたお前達の責任はどうするつもりなの?」
私が絡んでいるとお母様の怒りは収まることを知らない。私は4人の廃嫡も、男爵家への処罰も望んでいないと訴えてみる。
「ママ、四男爵家はレイバック辺境伯家の為に仕えてくれてるの。令息達の行為は少し度が過ぎたかも知れないわ。でも、私と同じ12歳なのだから未熟なのは当然でしょ? どうか更生の機会を与えてあげて欲しいの」
私の言葉を聞いたお母様は、私を強く抱きしめて瞳を潤ませた。
「リディ……、なんて尊いの!私の娘は天使どころか女神だったのね。リディがそこまで言うのなら私は何も言うことはないわ」
「シアの言う通り、リディは天上の女神そのものだね。全くお咎めなしとはいかないけど、4人の廃嫡はせずに更生のチャンスを与えるが、かなり厳しいものになると覚悟をするように」
私の言葉に感動したのは両親だけではなく、四男爵家夫妻や他の来場者も感動した様子で、4人の令息に至っては号泣していた。
残念ながらお披露目会は、そのまま中止になってしまったけど、最悪の事態は回避できたことに満足したの。
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