第21話 お披露目会②

 私とファビオが入場する前に、子貴族であるオーウェン、ジェニングス、メイソン、ランバートの四男爵家の子息が入場する。


 チェイス.オーウェン、ムーキー.ジェニングス、アンドレアス.メイソン、カルビン.ランバートの4人が一斉に入場して、親貴族である辺境伯の前で挨拶をした。


「オーウェン家の長子チェイスです。レイバック辺境伯家の矛としての務めを全うすることを誓います」

「うむ、矛のオーウェンに恥じない活躍を期待するよ」

「はい」


「ジェニングス家の次男ムーキーです。レイバック辺境伯家の剣としての務めを全うすることを誓います」

「うむ、兄のターキーに負けない活躍を期待するよ」

「はい」


「メイソン家の次男アンドレアスです。レイバック辺境伯家の術としての務めを全うすることを誓います」

「うむ、戦局を左右するのは魔術だ。しっかりと修練を積むように」

「はい」


「ランバート家の次男カルビンです。レイバック辺境伯家の盾として、いかなる攻撃も受け止めてみせます」

「うむ、堅固な守りがあれば戦いに敗れることはない。領地と領民の盾としての活躍を期待するよ」

「はい」


 四男爵家の令息が入場すると、4人はすぐに横並びになり私とファビオの入場を待つ、その間にチェイスがアンドレアスに話し掛ける。


「無能な我儘娘とお前の愚弟のお出ましか? 俺達の代でレイバック辺境伯家を乗っ取ってみるか?」

「馬鹿、この場で言う内容じゃない。まぁ、俺達が団結すれば可能だろうがな」

「「ふふっ」」


 無能な我儘娘が不甲斐ない為に、メイソン家の三男ファビオを養子に迎えた。そう思っている四男爵家の令息達は良からぬ想いを抱いていた。彼らは四男爵家あってこそのレイバック辺境伯家だと思い違いをしているようで、これからは入場する2人を格下だと思い込んでいる。


「レイバック辺境伯家、リディアーヌ様とファビオ様が入場されます」


 補佐官ケントの声が響くと、参加者全員が片膝をついて主役の入場を迎えた。そして入場する2人を見た参加者からは、感嘆の声が漏れたの。


「あれがリディアーヌお嬢様! なんとお美しいお嬢様なんだ……」

「神々しいまでの美しさだ……」


 当然、四男爵の令息もリディアーヌを見て、その美しさに見惚れてしまっていた。彼等の知るリディアーヌは厚化粧で、優雅には無縁なイメージしかなかったからだ。


 そして2人が入場すると演奏が始まり、2人のファーストダンスが始まったところで、お披露目会が開宴した。


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