第14話 才能が花開く①
初等科学園へ通わないことが決まると、高等科学園へ通うまでの学習プランが決まった。
今はお母様から魔術を学んでいるの。私の無と光の属性に関しては知る者が居ないので、魔術の発動理論を教えてもらっているけど、未だに2つの属性魔術を発動できないままだった。この辺りは巻き戻り前と変わらずの無能っぷりだったけど、それでも今回は腐らずに努力をするの。魔術の発動は無理でも体内の魔力操作はできるので、とにかくできることを頑張った結果、お母様から褒められるまでになったの。
「リディの魔力操作は本当に素晴らしいわね。おそらくだけど同世代で並ぶ者は居ないわね」
「ママの教え方が良いからだよ? 流石にファビオには負けてると思うわ?」
「ううん、僕よりもリディの方が上手だよ。指先まで滑らかに流れる魔力操作は、今の僕には真似ができないよ」
私と比べてファビオの魔力量はかなり多い。私の魔力量は決して多くないから、体の隅々まで張り巡らせることができるんだと思う。魔力総量が多ければ細かな操作は難しいはず。そのことをファビオに伝えてあげる。
「それは、ファビオの魔力量が多いからだよ。私は魔力量が少ないのと魔術の発動ができないから、魔力操作の練習時間が長いだけだよ。ファビオなら直ぐに私より上手になるわよ」
私の言葉を聞いて『コクリ』と頷いた。本当にファビオは素直で良い子だ。こんなに良い子に嫉妬をして、無闇に当たっていた昔の自分が恥ずかしくなった。
ファビオと話をしていると、お母様がなにかを思い出したようで『パンッ』と手を叩いてから私に話しかけてくれたの。
その一言によって、魔術の才能が花開くなんて思ってもいなかった。
「そうだ、光属性の参考になるか判らないけど、暗闇で明かりを灯す時には、火属性の魔術を使うのだけど、それは光属性こそ相応しいと思うのよ。ママの場合は小さな火を思い浮かべながら、こう唱えるの
『ボワッ』
「ママ、凄いわ!」
小さな炎が一瞬現れた。確かに小さな明かりを灯すのなら火よりも光が向いている。お母様が発動イメージを説明してくれたので、火の部分を光に置き換えて、暗闇を照らす光をイメージしてから、光の魔術を唱えてみた。
「暗闇を照らせ
『パァッ!』
私の差し出した手から光が発生する。その光は火と比べものにならない程に明るいもので、その光景を見ていたお母様とファビオは、目を大きくして驚いた。私も自分が魔術を発動できたことに驚きながらも、その嬉しさから大声で喜んだの。
「ママ見た? 私が光を出したんだよ!」
「あぁ、リディが光り輝いていたわ!やっぱり天使だったのね。ミゲールにも教えてあげないと!誰かミゲールを呼びなさい」
仕事を置いて駆けつけたお父様に、光の魔術を披露すると、私が魔術を発動させたことが余程嬉しかったようで、その日の夜は盛大宴となった。両親とファビオだけではなく、城内にいる全ての家令も喜んでくれたの。
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