第13話 通わないという選択肢

 巻き戻ってから、学園へ入学する前のイベントは一通り終えて、私とファビオは9歳になった。後は破滅へと繋がった学園生活を残すところとなった訳だけど、今回は王家との婚姻を願わなかったので、今の私に婚約者は居ないの。なので10歳から通うことになる初等科学園へ、第二王子ガウェイン殿下の婚約者として通う必要はない。なので初等科学園へ通いたいのか、お母様が私の希望を聞いてきたの。


「リディ、10歳になれば王都にある初等科学園に通えるけど、通ってみたい?」

「う~ん、私は領地から離れたくないかな? だって魔術ならママから、武術ならパパから、学術なら補佐官から学べば良い訳だから、わざわざ王都へ行く必要はないと思うの」


 初等科学園は、あくまで高等科学園へ進む為の基礎知識を学ぶ場所なので、必ずしも通う必要はないの。それなら王家と関わるリスクがある初等科学園へ通うより、領地で学ぶ方が安全だと思ったの。


「そうね、初等科学園へ通う必要はないわね。もし、通うと言ったらママも一緒に王都へ行こうと思ってたけど、領地に残るのが一番よね!」


 こうして私は初等科学園へ通うことなく、高等科学園へ入学するまでの間は、領地で過ごすことになったの。私を破滅に追いやったガウェイン殿下と接触する機会は回避できた。リリアとは高等科学園まで出会ウことはないので、今のところは対策を練る方法がないので放置することにした。


 こうして、私ことリディアーヌ.レイバック辺境伯令嬢は、高等科学園へ入学するまで部外者と触れ合うことなく、完全に『箱入り娘』として育つことになり、ファーガソン王国内で最もミステリアスな令嬢と言われるようになったの。周りの人からそのように思われているなんて、この時の私は知る由もなかったの。


§国王視点§

 ファーガソン王国は常に存亡の危機と隣り合わせにある。北はグラディス王国、南はローソン帝国に挟まれている弱小国家で、ローソン帝国の庇護とレイバック辺境伯家の軍事力によって存続している。


 第一王子はローソン帝国の第二王女との婚約を逃して、我が国の宰相の娘と婚約。第二王子もヴァレンティ聖教国かグラディス王国縁の者を探したが、なかなか良い相手が見つからずにいた。


「ガウェインの良い相手は居ないのか?」


 王はため息をつきながら側近である侯爵達に声をかけた。宰相、外務相、内務相の3名は渋い顔をしていた。


「ヴァレンティ聖教国は、教皇様の娘がレイバック辺境伯家へ嫁いでいるので、辺境伯家より上の王家への縁談は、良い返事を頂けませんでした。グラディス王国からは伯爵令嬢程度の返事だったので、釣り合わないので受け入れることは到底できませんでした」

「国内で見渡すならば、3侯爵家と辺境伯家となりますが、辺境伯令嬢は初等科に入学する予定はなさそうです」

「噂の我儘令嬢か? 王族に迎えるには不安があるので除外でよかろう」

「「御意!」」


 私の知らぬ所でガウェイン殿下との婚約者候補から外されていたのだった。


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