閑話 天使のような人
§ファビオ視点§
レイバック辺境伯家の養子になると決まってからは、両親からリディアーヌ様のことで注意を受けた。
その内容は『気が強く、猛烈な我儘娘で手に負えない』というもので、リディアーヌ様の気を損ねようものなら、メイソン男爵家なんて簡単に取り潰しになるので、そのことを肝に銘じるように言い聞かされていた。
どんな我儘娘なのかと思いながら、リディアーヌ様に失礼のないように挨拶をする。
「本日よりレイバック辺境伯家の末弟として、お世話になるファビオと申します」
「私はリディアーヌよ。姉弟になるんだもん畏まった言葉使いも不要よ。同い年なんだから、私のことはリディと呼んで欲しいのだけど、ダメかしら?」
返ってきた言葉とその天使のような可憐さに、僕の心はリディアーヌ様に奪われてしまった。
これからはレイバック辺境伯家に相応しい者になる為に、難しい勉強や厳しい訓練が行なわれると思うけど、全てがリディアーヌ様の為なら耐えられる。今日この日より僕の命はリディアーヌ様の為にあるのだと確信したのだった。
§アルテイシア視点§
リディとファビオの初顔合わせは予想以上の結果に終わったわ。
特にファビオは、リディの天使っぷりを見ただけで、完全に心を奪われたみたいだもの。きっと、リディの為ならどんな努力も惜しまないわね。
リディの方も、ファビオに対して好感を持ったようで一安心。高熱を出す前なんて『将来は王妃になってファーガソン王国の国母になりたいわ』なんて言っていたけど、今はそんなことを口にすることは一切ない。だって、辺境伯家の領地で私達と一緒に暮らしたいと言っているのだから。
だからこそファビオには、レイバック辺境伯家の立派な後継者になってもらい、リディの伴侶になってもらわないと困るの。私の元からリディが去って行くなんてありえないもの。
さぁ、ファビオ。私とリディの明るい未来の為に、必ず世界一の男になってリディと添い遂げるのよ!
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