第4話 再会 ファビオ
ついに待ち焦がれた日がやって来たの。
お父様が城を出てからは、お母様と一緒に義弟となるファビオが来るのを、お茶を飲みながら待っていたの。
「ママはどんな子が知っているの?」
「パパからはとても優秀な子だと聞いただけよ。ママも実際に会うのは今日が初めてなのよ」
「じゃあ、ママも私みたいに『ドキドキ』しているの?」
そう言ってから、お母様の手を私の左胸に当てて高鳴る鼓動を感じてもらう。
「あぁ、リディの鼓動……、尊いわ」
なぜか? お母様は恍惚とした表情になっていた。あれ? お母様ってもっとクールだったような気がしたんだけど、私の前ではいつも『デレデレ』している。今も『ボォー』としているので声をかける。
「ママ? 大丈夫?」
「はっ!えぇ、大丈夫よ。リディがあまりにも尊いから気を失いそうになっただけよ。ほら、辺境伯家の馬車が見えてきたわよ」
お母様が城の城門を指差すと、我が家の家紋【双頭の龍】が印された馬車が見えてきた。お父様がファビオを連れてきたのだと判ると、私は居ても立ってもいられず、お母様とエントランスへと向った。
馬車がエントランスに着くと、私とお母様は既に待機していて、お父様とファビオを乗せた馬車がくるのを待っていた。御者が馬車を止めて執事が馬車の扉を開けると
、にこやかな笑顔でお父様が馬車から降りてくる。真っ先に私の元に歩み寄って抱きあげた。
「リディ!出迎えてくれるなんてこれ以上の幸福はないよ!」
額にキスをした後は頬擦りをしてくると、お母様は凄い剣幕でお父様を叱った。
「あなた、リディの肌に傷がつくじゃない!ヒゲを剃った直後以外の頬ずりは、絶対にダメと言ったじゃない!」
「ごめん、馬車から降りたら天使が居たから、衝動的に動いてしまったんだ。それより新しい家族を紹介しないとね」
お父様が馬車の方を向いて声をかけると、緊張しているのか? ぎごちない歩様でファビオが馬車から降りてきたの。巻き戻り前に、私のことを最後まで守ってくれたことを思い出すと、涙が溢れそうになった。
「本日よりレイバック辺境伯家の養子としてお世話になる、ファビオと申します」
ファビオの口から出た言葉は、巻き戻り前に聞いたものと同じだった。あの時の私は冷めた目つきでこう言ったの。
『私の言うことをしっかり聞くのよ。従わない者なんて必要ないんだから!』
今思えば、かなり酷い初対面だったと思う。それでもファビオは、そんな私に誠心誠意尽くしてくれた。今回はそんな酷い扱いはせずに、大事な家族として接すると心に決めていた。そんな私は大事な義弟に笑顔を見せながら声をかける。
「私はリディアーヌよ。姉弟になるんだもん畏まった言葉使いも不要よ。同い年なんだから、私のことはリディと呼んで欲しいのだけど、ダメかしら?」
私の言葉を聞いたファビオは驚き固まって、返事すらできなかったのだった。
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