第3話 両親との話し合い
お父様とお母様を私の虜してからは、ファビオを養子に迎えるまでの間は、出来の悪い娘を演じ続ける。あくまで出来が悪いと思わせるだけで、勉強はしっかりと頑張って知識を身につけていった。武術や魔術の努力はファビオが来てから一緒に頑張るつもりでいるの。
一生懸命に勉強を頑張っても成果が出ないフリを続けているのに、両親からは養子の話が全く出てこないことが焦りを感じた。このままではファビオが養子に来ないと思い、私の方からお母様に軽くアプローチをしてみることにした。
「ねぇ、ママ。私では辺境伯領を統治できないと思うの?」
「そんなことは気にしなくても良いのよ? 雑事をする者を雇えば問題ないわ」
「でも、私は代々続く武の名門レイバック家の名を、私の代で汚したくないの」
「そう……、パパに相談をしてみるわね」
「うん、私はレイバック家を継げなくても、ママと暮らせればそれだけで幸せだから、私に気を遣わずに後継者を迎えてね」
少し目を潤ませて訴えかけると、お母様が『ギュッ』と強く抱きしめる。
「あぁ、リディはなんて尊いの!ママもリディと離れるなんて絶対に嫌よ。誰かに嫁いで私の元から離れるようなことは、絶対にさせないから安心してね」
「ママ、大好き!」
そう言ってから頬にキスをすると、その後はお母様からのキスの嵐を受けてしまった……。
そして、アプローチをかけて1ヵ月が経過した頃に、両親から大事な話があると声をかけられ、サロンで話を聞くことになったの。
「リディ、前にママから相談を受けてね。我が家に養子を迎えることにしたんだよ」
「まぁ、私に兄弟ができるのね!」
遂にファビオがやって来るのかと思い、目を輝かせながら返事をすると、お父様は『ホッ』と安堵の表情をみせてから、養子の話を続けたの。
「その子は、メイソン男爵家の三男ファビオと言うんだけど、リディと同じ5歳なんだ」
ファビオにまた会える。そう思うと心の中は嬉しさでいっぱいになる。飛び回って喜びたい思いを抑えながら、お父様にファビオを迎えることを嬉しいと伝える。
「パパ、すごく嬉しいわ!同い年なら学園へ通う時には護衛もしてもらえるね」
「そうだよ。リディに変な虫が付かないように、しっかりと見張ってもらうのにピッタリなんだよ。彼を迎えるってことを賛成してくれるかい?」
「勿論よ!パパありがとう」
ファビオが来ることを断る訳がない。私は感謝の気持を伝えてから、お父様に抱きついて頬にキスをすると、お母様は『プクッ』と頬を膨らませていたので、お父様から離れてお母様に感謝を伝える。
「ママがパパに伝えてくれたおかげだね。ありがとうママ大好き!」
「あぁ、尊いわ!」
お母様は私を抱き寄せると、そこからはお馴染みのキスの嵐を受けたのだった……
巻き戻った世界でも、ファビオを義弟として迎えることになり安心したのだった。
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