閑話 リディアーヌ

◇◇◇ミゲール視点

 リディが高熱から回復したと聞いて、アルテイシアと2人で部屋へと向った。


「パパ!ママ!」


 部屋に着いてリディの口からでた言葉を聞いて驚いた。私の知るリディとは全く違う雰囲気になっていたのだった。


 私達が心配していたと伝えると、薄っすらと涙を浮かべるリディの口から、信じられない言葉が出た。


「パパとママにもう会えないのかと思って……、凄く怖かったの」


 辺境伯家の一人娘だったせいで気位は高く、アルテイシア以外には弱音を吐かなかった。そんなリディが私に『怖かった』と伝えてくれた。


(尊い!我が娘はなんと尊いんだ!)


 その後も尊さ全開の私の天使は、熱にうなされ怖かったのだろう、1人で寝るのが怖いと言ったので、これからは一緒に寝ることとなった。


 そして、私の頬にキスという神からの贈り物にも勝るプレゼントをくれた。私はリディをどんな障害からも守り抜くと心に決めた。それは国が相手だったとしてもだ。私の天使に害をなすなら必ず打ち倒してみせる!


◇◇◇アルテイシア視点

 リディが高熱を出したと聞いて、居ても立っても居られなかったわ。


 だって、私の天使が苦しんでいるなんて聞いて、大人しく待つなんてできる訳がないじゃない! それなのに、熱がひくまでは感染する恐れがあるから、看病どころか部屋に近付くことすら医者に止められた。


(リディ、どうか無事でいて)


 永遠とも思える3日が経過して、リディの体調が回復したと聞くと、ミゲールと共に部屋へと入ると、私達に気づいて嬉しそうに声をかけてきたの。


「パパ!ママ!」


 これまで『お父様、お母様』と呼んでいたのに『パパ、ママ』と呼んでくれたの。私のリディは本物の天使になった気がする。本当になんて尊いのかしら。


 そして、熱がひくまで1人で過ごしたのがよほど怖かったのか? 『ママのベッドで一緒に寝たいの』なんて言ってきたの。その言葉を聞いて私は思わず涙がでたの。


 どれだけ心細い思いをさせてしまったのだろう? これからは好きなだけ甘えさせてあげると、神に誓いを立てたわ。


 リディ、あなたの望むことは全て叶えてあげるわね。だからいつまでも、私の天使のままで居続けてね。



 


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