第3話 純白のドレス

ロッジをうろついていると、素晴らしい純白のドレスが飾ってあるのを見つけた。所々にダイヤモンドがあしらってある。よく見ると、往年の大女優のドレスではないか・・・。

その女優は人気の絶頂期にトラブルがあって、亡くなったらしい。


ドレスを手に取って、鏡に自分を映してみた。


私は鏡の前でくるりと回ってみたりした。まるで、自分までが大女優になった気分がして、胸がドキドキした。もし自分が大女優になれたら・・・。

頭の中は想像でいっぱいだ。


その時、急に頭痛がして身体が重くなった。体調はそんなに悪くはなかったのに、何故かしら・・・。ロッジに入ってからは、心配するほどのことはなかったと、安心していたのに・・・。


そんな私をじっと見ている存在があったが、その時は気づかなかった。


リビングはどこだっけと探していると、スタッフが近寄って来て言った。「七美ちゃん、知らないの?この屋敷には因縁があるんだ」


「えっ、何のこと?」と私は答えた。

「君がさっき手にしていたドレスだけどさ、持ち主は非業の死を遂げたそうだよ」とスタッフは言った。


「それは恐ろしい死にざまだったらしい。詳しいことは分からないけど、

全身火に巻かれての焼死だったらしいよ」


その時「キャー」という叫び声がした。七美は驚いた。

「なんだ、ママ、驚かせないでよ」

「な、な、七美の後ろに焼けただれた女性の姿が見えたの・・・」


「もう、そんなこと言って、止めてよね。私は怖がりだって知ってるでしょ?」

ママはガクガクと震えている。


スタッフの存在をすっかり忘れていたが、そのスタッフは、話を続けた。

「それでなんだけど、その女優が夜な夜な屋敷をさ迷う姿が、目撃されてるそうなんだ。君は霊感強いって聞いたから、ちょっと心配しちゃってね」


気をつけてと言って、話し終えるとその人は去って行った。

そんな化け物屋敷だなんてこと一言だって、聞かなかったわ。ママは知っていて、黙っていたのかしら?


もう、知ってたらこんな屋敷に来なかったのに!

私はそういう怖い話は聞きたくないの。どうりで屋敷に近づくときに、体調不良を感じたわけだわ。

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