エゴとモラル

花図 おう

エゴとモラル

       エゴとモラル

               花図 おう


「エゴとモラル、どっちがいいと思う?」

 そう聞くと、大抵の人は「モラル」と答えると思うよ。

 僕だってそう思ってた。

 だってモラルは他人ひとの為にして、良い行いをする事だけど、エゴは自分勝手で、他人ひとの気持ちなんてお構い無しだから。っていうイメージが強いから、みんなそう思うんじゃない?

 でもそれはあくまででイメージ・・・・だよね?

 実際は?本当にそうなの?

 確かにモラルは良いことだよ。やられた側からしても気持ちのいいことだし。でもさ、それってただ自分自身の為だけの「エゴ」なんじゃない?って思うんだよね。

 だって「良いことをする」っていうのは、「そうした方が良いから」って思ってる人が大半だと思うんだけどさ、それはあくまで表面上の話じゃない?本音は?本当にそう思ってるの?

 例えば「殺人」。これはみんな一度はやってはダメって認識してると思うの。だってそうじゃん。人を殺したらダメだもん。

 でもさ、「何で殺人をしちゃダメなの?」って聞かれたらみんなはどう返す?

 ね?直ぐには思いつかないでしょ?僕は思いつかない。今も考えてるけど、良い言葉が見つからない。

「自分がやられて嫌だから」

「悲しむ人がいるから。」

 そんな理由が頭をよぎるけど、それだと釈然としない。なんでなんだろう。

 殺人は誰だって出来るじゃない?身近なもので出来るし、みんなやろうと思えば出来るでしょ?何ならみんな一度は思ったことあるんじゃない?「殺したいぐらいうざい」とか。でも実際にはしない。どうして?「エゴ」だからだよ。

「捕まりたくないから」

「犯罪者になりたくないから」

「世間が許さないから」

 なんていう、自分の身勝手な思いエゴでやらないだけでしょ?「異端者」って思われたくないだけでしょ?周りの輪から出たくないだけでしょ?

 「モラル」とか言いながら、結局は自分のための「エゴ」なんだよ。

 じゃあ「エゴ」は?

 「エゴ」は客観的に見たら不快に感じる人が大体だと思うんだよ。でも主観的になら?

 客観的に見て不快に思っても、主観的に見ればその人がやっているのは、その人なりの「モラル」であって、正しいと思っていることなのかもしれないと思うの。

 「モラル」ってさ、「自分がやられて嬉しいことをやりましょう」って習ったと思うの。でもやられて嬉しいことだなんて人それぞれで、自分がやられて嬉しいことは他人ひとにとって嬉しくない場合があるわけじゃん?

極端な話になるけど、幼稚園児が二人いたとする。一人は虫が好きで、もう一人は嫌い。虫好きな子は綺麗な蝶を捕まえて、それがとても嬉しいって思ったの。で、それを虫嫌いな子にも見せたくて、良かれと思って見せに行くでしょ?

 どうなると思う?虫嫌いな子は叫んだり、泣いたり。そして先生が来る。

 この時、どっちが悪くなると思う?

 虫を持ってきた方なんだよ。

 年齢なんて関係ない。

 ただ自分が良かれと思ってしたことなのに、怒られる。そんな理不尽が生み出す「エゴ」ってほんとに「エゴ」なのかな?

 僕はそう思わないな。だってそれはお互いにとっての価値観モラルの違いであって、どちらも悪くはないでしょ?

 でもそんな些細なことで傷ついて、もう一生虫なんて触らない、これからはもっと考えて動こう、とか思う事があるわけ。

 そうなるとさ、どんどん「モラル」に近づいちゃうの。

 さっきのモラルの時では話さなかったけど、みんな同じモラルを持っていたらだんだん個別性が無くなるの、自発をしなくなるの。

 だって「みんなと同じ考えじゃないから」って思って、異端者はあいつらなのに、それに気づかず、異端者たちの輪に入ってしまうからなんだよ。

 「異端者モラル」をして、自分を守るためだけの「自己弁護エゴ」をする。

良かれと思ってした事モラル」が他人ひとから見て、「嬉しくない事エゴ」であった。

 矛盾だと感じるかもしれない。

 実際はそうだよ、矛盾だよ。

 でも、「エゴ」と「モラル」ってこういう関係だと思うの。

 難しいよね笑














 まぁ、これだって、僕にとって「エゴ」で、他人に乗っての「モラル」なんだろうけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エゴとモラル 花図 おう @hanazu_ou_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ