天川裕司

タイトル:川


ある日、川のほとりに来ていた。

まぁ気分転換にレジャーでもしようと

そこへやって来たのだ。


都会の生活に少し疲れ、

自然と戯れようとしていた私。

でもそんな場所でも長らく居ると、

やっぱり人恋しさが心に芽生える。


そして作ってきたお弁当でも

食べようかと広げたとき、

背にしていた川の方から

パシャパシャと音が聞こえ始め、

誰かがこちらに向かって来たようだ。


初めは無視してお弁当を食べようとしていたのだが

その足音がだんだん大きくなってきたので

無視するわけにも行かず、ふと後ろを見た。


女「こんにちは〜♪お弁当ですか?良いですね」

なんかすごい明るい感じの女の人。


「あ、こんにちは〜♪」

私もとりあえず会釈して、精一杯、笑顔で返した。


その女の人は「ふう」と言った感じに

少し疲れていたようで、

持っていた水筒を手に取り、

私の横に座ってお茶を飲み始めた。


女「あ、すみません、ここよかったですか?」

「え、あ、どうぞどうぞ」

女「なんか邪魔しちゃったようで♪」

「いえいえ、大丈夫ですよ♪」


明るい日差しが差し込んできて、ポカポカ天気。

まぁ相手が女の人だったので私も心を許し、

それから少し談笑したりなんかしてた。


でもその直後、恐怖と言うか、

まず不思議な感覚に囚われたのだ。


お日様は私たちの背後から照らしており、

私の影はベンチの前にしっかり浮き出ている。

でもその女の人の影は全く無かった。


「何かの加減でそうなってるのか?」

とも思ったのだが、

その人と別れてあとでよくよく考えてみると

多分そうじゃない。

あの位置取りからして、

2人の影はそのまま地面に映るはず。


それを強く疑問に思った理由は、あの時、

「あ、そうだ」とあの人が言ってベンチを立ち、

また後ろの川面の方へ向かったかと思えば

パシャパシャと音がした直後、姿が消えたこと。


当然少し辺りを見回したのだが、

どこにも居ない。

不思議な感覚がはっきり恐怖に思われたのは、

そこに人が居たという気配が

消えて無くなっていたから。


「…まさか、あの川で…」

この先の事はとりあえず今、

あまり深く考えないようにしている。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=Jfp8wfD1v2Y

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天川裕司 @tenkawayuji

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