第28話 やめて!ママが死んじゃう

 数日後、マルチェリーナの再顔見せの日がやって来た、いつもよりオシャレな部屋着を着て、普段は下ろしている髪はアップにして卵型の綺麗な輪郭が良く分かる様になっている。

「ご主人様、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした、マルチェリーナは改めてお奉仕をさせて頂きます」

 久しぶりに見たマルチェリーナの顔はやっぱり童顔のロリ顔、それでいて首から下はエッチな恵体、

「こうやって明るいところで顔を見るのは久しぶりだな、迷宮では怪我をしたけど、身体の方は大丈夫なのか?」

「はい、おかげ様で」

 俺はジッとマルチェリーナの胸元を見る、察しの良い彼女は俺の意図を見抜いてくれた様だ。


「ご主人様、身体の検査もお願い出来ますでしょうか?」


 ▽



 魔法の事は無かった事にするつもりだった、今まで通り剣と弓で戦えばそれなりの生活は出来るはずだ、魔法は、まぁ最後の手段で

“死ぬよりはマシ”

 そんな時の非常手段でとっておこうと思っていたが、マルチェリーナのやわ肌は男の秘密をあっさり見つけ出す、


「ご主人様、バンビーナはまだ成熟前でございますよ、あんまり激しい事をなさらないでくださいね」

 ああ、これは話がバレているな、ここで我慢するのも良くない、全部言っておこう、

「実は、数日前にバンビーナと迷宮に言った時の事だがな……」


 俺が今まで魔法の経験が無かった事、そもそも魔法の使い方すら知らなかった事、

突然魔法が顕現した事、その後は人格が変わった様に性欲に取りつかれた事、

 全て吐露したよ。


「ご主人様、魔法をお使いください」

「だけど副作用が怖いぞ、抑えが効かなくなったら怖くて」

「お忘れですか、わたしの仕事は荷物持ちだけではありません、ご主人様の全てを受け止める事でございます」

「  ……  」

「実はわたし、娼館に売られるつもりでしたの、なんの遠慮もいりません、思いっきりぶつけてくださって結構ですよ」



 ▽▽



 数日後、二頭の馬を借りて郊外に行く、一頭の馬にはテントとか、調理道具を載せて、マルチェリーナが手綱をひき、

 もう一頭には俺が跨って、膝の上にはラムが挟まっていて抱っこ状態、手綱を引いているのはバンビーナだよ、

 馬車は便利だけど石畳の道しか走れないと言う欠点があるから、馬とかロバに直接荷物を載せて移動は一般的らしい。


 街からは充分離れ、街道からも距離をとった、テントを張って中には薄着のマルチェリーナが待機、バンビーナとラムは安全の為俺の視界から消えてもらった。

 30M程先にある、大きな岩が魔法の標的、

「アイス・ストーム!」

 ゲームに出てきた氷魔法をイメージして岩にぶつける、さっきまで普通の岩だったのに、一瞬で氷河みたいに氷に包まれ、冷気がこちらにまで伝わってくる、

“やったぜ”

 と言う達成感が湧いて来るけど、性欲は特にない、


「ファウエル!」

 氷河みたな氷の塊が炎をまとう、さっきよりも強い全能感、

“俺は凄いんだぜ”


 最初のうちは氷と炎の魔法を繰り返し、その後は風の魔法やカミナリ魔法を試した、一通り試したら辞めるつもりだったが、いつまで経っても終わらない、何と言うのか気分が良いのだ、魔法を使えば使うほど俺の人としての価値が上がって行く様な感覚、


「あの~、ご主人様、そろそろお休みになった方が」

 俺様に声をかけて来たのは、上乳が見える服を着たマルチェリーナ、プツリと理性が切れる音がした、

“俺は何をやっても良いんだよ!”


 その後はエンドレス状態だった様だ、理性が戻ったのはテントの中、マルチェリーナは青色吐息、

 外はもう日暮れの時間の様だ、


「ご主人様~、ご気分はどうですか?」

「バンビーナか?」

「はい、そうです、魔法の音が止んでずいぶん経つので伺いに来ました、中に入ってもよろしいですか?」

「ラムはいるか?」

「いえ、まだ馬のところに待たせております」

「ラムには見せるなよ」

 毎朝身体を重ねている事はラムも知っている、けどママのこんな姿を見せる訳にはいかない、トラウマになってしまうよ。


 テントに入って来たバンビーナは顔をしかめる、

「殿方の香りが満ちていますね」

「生臭いってハッキリ言っても良いぞ」

「いえ、その様な事は」

 そう言いながらマルチェリーナの身体を清め、服を整えているバンビーナ、

 やれやれと起き上がろうとした俺だが、しっかり腰が抜けていた。


 バンビーナの話によると、かなり離れた場所に馬をつないで待機していたけど、魔法の音が聞こえてきたし、水魔法の滴が飛んできたりもしたそうだ。


 ▽


 翌朝、マルチェリーナはなんとか起き上がれるまでに回復した、娘のラムは母親から離れようとしない、

 なぜかマルチェリーナよりもラムに謝りたくなってきたよ。


 焚火を囲んで食事を摂り、食後のコーヒーの時に俺は宣言する、

「魔法は封印する、抑えが効かない状態では危険過ぎる」

「ご主人様、それは早計ではないでしょうか?」

「どうしてだ、昨日は大変だっただろう」


「確かに昨日は激しかったです、ですがご主人様は何回魔法を放ったか覚えておりますか?

 わたしが数えているだけでも20は優に超えております、迷宮においてこれだけたくさんの魔法を放つ事は無いでしょう、

 数回の魔法でしたら受け止める事は可能かもしれません」

「だが、理性のタガが外れた時は、自分が自分で無くなるので責任が持てないのだ」

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