第27話 奴隷なんて道具なんだよ!

 プリメラさんの家庭教師で図書館に行ったり、バンビーナとラムと三人で図書館に行ったり、なるべくアパルトマンを留守にするようにした、

 俺達がいない間にマルチェリーナは家事をしているようだ。

 健気にもお務めもしてくれる、




 夕食を摂ってのんびりしているとバンビーナがやって来た。

「ご主人様今日は本ばかり読んで眼が疲れましたよね、少し横になってください」

“ご主人様、には選択肢はありませんよ”

 そんな態度で言って来る、

「そうだな、少し眠ろうかな」

「さぁ、ご主人様、早く」

 無理やりソファに寝かされると、俺の胸に抱かれる体勢でバンビーナが身体を預け、

“お昼寝”の体勢、


 いつもなら俺が寝たふりをするまで待つバンビーナだが、今日はいつもよりせっかち、

寝ている間にこっそりキスをするという建前を忘れていないか、

 小さなサクランボが俺の唇を塞ぐ、心の奥に住んでいたケダモノが目を覚まし、お腹の下の方に溜まった物を小さな唇にドクドクと流れ込む、

 ここ数日溜まっていた物が一気に流れ込んだ感じだ。


 重かった下腹部が軽くなったきがするが“副作用”も出て来る、

 バンビーナを持ち上げそうなくらい元気になった俺、少女はスルリと俺の胸から抜け降りると、トテトテと駆けて行く。


 数秒後部屋の明かりが消えると、すぐ近くに人の気配、

「マルチェリーナか?」

「左様でございます、次はわたくしマルチェリーナがご奉仕をさせてもらいます、

 不浄な女でございますが、どうかご寛恕を」

 明かりを消したと言っても暗闇になる訳ではない、カーテンの隙間から差し込む月光が、真っ白な身体を浮き上がらせて、普段よりエッチな気分にさせてくれる、

 普段は朝しか交わりを持たないので、月明かりの下で新鮮な体験、突然マルチェリーナが声を上げる、

「ご主人様、失念しておりました、今夜は満月です!

 どうか外に、外へお願い致します」


 ▽


 月明かりでボヘェーと賢者の様にたたずむ俺、今までは朝だけだったけど、本当は夜にする事なんだよな、

 それにしてもマルチェリーナは途中から“外にお願いします”と叫んでいたけど、一体どういう意味なんだ。



 ▽▽



 マルチェリーナが迷宮で魔物に襲われ怪我をした、

 怪我と言っても2週間もすればカサブタが取れる様な擦り傷なんだけど、女性は完璧でなければ表に出られない、そんな歪んだ美醜意識の世界、

 ここ数日図書館に通ってなるべくマルチェリーナと顔をあわせない様に気を使っていたのだが、少々運動不足なので今日はバンビーナと二人で迷宮に行く事になった。


「ご主人様、こうやって二人で迷宮に行くのは久しぶりですね」

 黄色い帽子の女の子が見上げながら言って来ると、なんとなくホッコリする、

「そうだな、今日は深いところには潜らずピクニック気分で行こうか」

「ご主人様とピクニックですか、エヘヘ」

 頬を緩ませ悦びを隠せない鹿耳の女の子。


 ▽


 7階層で弱めの魔物を狩っていたところだが、リンドと言う三本角の牛もどき魔物が数体毎に出て来る、無駄に身体が硬くレイピアで突く様な弱点も無い相手なので、ひたすら俺の剣で相手を削っているが、エンドレス状態でさすがに疲れて来た、

「ご主人様!奥の通路から3体、また来ました」

「……分かった」

 ちょっとピクニックのつもりで潜った迷宮だが、大苦戦だ。

 連戦で汗が滴り落ち、肩で息をしている俺、更にもう三体だと?


「バンビーナ、さすがにリンド相手に連戦はキツイ、こっちの枝道に入ってやり過ごせないか」

「は、はい、ダメです、ご主人様!こっちの枝道から大量の魔物がやって来ます」

 普段戦っている階層の魔物よりは弱い相手だが、大量に湧いて来るとなると話は別だ、普段は安全な上層階で安くても確実に魔石を集めている連中も一定の確率で死んでいくのは、こう言ったイレギュラーがあるからだろう。


 そこから先はハッキリと記憶が無い、俺は両手の平を魔物の大群に向けお腹の底に溜まっている物を一気に放出した、

 目の前に炎の壁が広がりそのまま通路を浄化していく、現実感はないが、頬に感じる熱さは本物だ。

“俺は魔法が使えたんだ”


 目の前には焼け焦げた魔物の死骸が積み重なっている、そして心の底から湧きあがる何とも言い難い感情、

「ご主人様、すごいです、魔法が使えるのですね、あんなにたくさんの魔物を一気に倒すなんて、きっと上級魔法なんですね……」


 俺の胸元にやってきた小さな女の子、ガキのくせに白い肩を晒して生意気だ、俺の道具に丁度いいか、

「痛い! ご主人様、痛いです」

「うるせー」

 まとわりついて来る人懐っこい少女の肩を強く掴むと、抗議と悲鳴とわずかな抵抗を無視してのしかかる、


 理性が戻った時には俺はバンビーナに跨り、彼女は鼻を真っ赤にして涙を流していた、

「すまない、バンビーナ」

「……わたし、魔石を回収して来ます」


 ▽


 迷宮からの帰り道はお互い一言も発する事は無かった、アパルトマンに帰って来ると、微妙な空気を察知したラムは出ていき、バンビーナと二人だけに。


「あの、ご主人様、今日は魔法を使って気が高ぶったのですよね、

 わたしも初めて魔物を倒した時は興奮して、自分が誰なのか分からなくなったし、きっとご主人様もそうですよね」

「  ……  」

「あのですね、以前お話ししたと思いますが、獣人族では男性がハーレムを作るのですよ、だから殿方に可愛がってもらうのは獣人族には名誉な事で、

 本当ならわたしもあの時もっと嬉しさを表さなければならなかったのに、ちょとビックリしちゃって……」


 バンビーナが俺を慰めようとして気を使ってくれている、だが今日は一体何だったんだ?

 魔法を使うと性欲が抑えられなくなるのか、王宮ではそんな副作用があるなんて聞いた事が無いぞ。

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