第23話 ロリコンの夢
バンビーナのおはようのキスの後には、俺とマルチェリーナは荒い息をする、耳の良い獣人の子には丸聞こえだし、何よりも隣の部屋に娘ラムがいるのにママとそんな行為をするので気まずかったが、みんなは、
“またお猿さんの時間ね”
くらいにしか思われていない、
バンビーナにさりげなく訊いてみたら、主人がトイレでハァハァしている事の方が恥ずかしいそうだ、
主人に不自由な思いをさせるのは奴隷として恥と言う意味だろうか。
マルチェリーナはお猿さんの時間以外でも俺に身体を密着させてくる、娘のラムが近くにいてもお構いなしだ、
まるで痴女みたいな女だと思っていたのだが、彼女は俺に気に入られなければ放逐されたり、再び奴隷商会に戻されると心配してのことだろう、
もちろんそんな事をする訳ない、身体の関係はともかく一緒に生活していれば情が移るし、荷物持ちは貴重な戦力だ。
▽
ヒタヒタと薄暗い迷宮通路を歩く3人、9階層ともなると人口密度も低くなり、バンビーナはランドセルの横に愛弓を収納しているけど、小学生の縦笛に見えなくもない、実際は縦笛なんて比べ物にならない凶悪な武器、
その代わりこの階層は魔物も凶悪、そんな危険な場所で、バンビーナが耳をクルクルさせている、
「ご主人様、こっちの通路から、タルバの音が聞こえます」
「分かった、狩りに行くぞ」
しばらく歩くと薄暗い通路の奥で立ち上がって俺達を威嚇しているアリクイもどき、不用意近づくと鋭い爪ににバッサリと身体を削られるが、今の俺達には飛び道具が有る、
通路の反対側に仁王立ちしているタルバ、丁度良い弓の的だ、
独特の音を立てて飛んで行く殺意の塊、オオアリクイの胸に二本の矢が突然生えたかの様な錯覚、
マルチェリーナが次の矢を渡してくれる、
その後も俺とバンビーナは雨の様に矢を降らせ、タルバは文字通り立ち往生した。
バンビーナとマルチェリーナがタルバの死体から使えそうな矢を抜き、魔石を回収している、
「ご主人様、アイテムです」
「今度は何が出た?」
「またインゴットですよ」
「またか~、もっとバンビーナの剣を作れと言う意味かな」
「次はご主人様の剣を新調してください」
▽
帰り道、マルチェリーナが俺に訊いて来る、
「ご主人様、本日はインゴットが出ましたが、あれはずいぶん高価な物だと聞いております」
「そうだな」
「ですがお二人はあまり嬉しそうで無かったですけど、何か訳がお有りなのでしょうか?」
「理由は分からんのだけど、俺達はインゴットを出しやすいみたいなんだ、もうかれこれ50以上は出してないか?」
「本日分で62個です、鍛冶師ギルドに22個納入、武器ギルドに20個納入しております、ご主人様」
バンビーナが有能秘書の様に答える。
「まぁ、そう言う事だ、マルチェリーナも剣が欲しくなったらいつでも言いなさい」
「いえ、荷物持ちと性欲処理がわたくしの仕事でございます」
そりゃ、まぁ毎朝俺にご奉仕してくれているけどさぁ、
“性欲処理がお仕事です”と言われると居たたまれない気分になるよ。
「あー、そうそう、落ちついて来たしヘリオスさんを招待しようと思うんだ」
「それはよろしいですね、ご主人様」
「あのー、ヘリオスさんとはどの様なお方でしょうか」
「マルチェリーナ、ヘリオスさんはご主人様のご友人であり、冒険者ギルドの職員でもあるお方です、
わたしの様な成熟前のブサイクな子にも優しく接してくれるお方ですよ」
バンビーナがママに説明をする、間違ってはいないけど、単なるロリコンも言い様だ。
▽▽
数日後ヘリオスさんを招いてのランチ、やはりと言うか幼女ラムを見て目の色を変えたよ、真性ロリコン間違いなしだ、認定証を発行してあげたい。
「……それでは、普段ラムは一人でお留守番をしているのかな?」
「うん、そうだよ」
「偉いねぇ~」
最初は知らないお兄さんで警戒をしていたラムだけど、味方だと判断すると、積極的に近づいていく、女の子の世渡りの術だ。
「オースさん、しっかりした子だけど、一人で残して行くのは心配じゃないのかな、
毎日は無理でもボクの仕事が休みの日は預かって面倒を見てもよいのだが、どうだろう?」
「ヘリオスさん、見ての通りラムは首輪をしていない、母親マルチェリーナの付属物と言う扱いなんだ、まずはそちらに話を通してみてくれないか」
判断をマルチェリーナに投げたが、意外にも頑固なママ奴隷、
「わたくしの娘に有り難いお申し出ですが、子守りは重労働です、まして平民のお方が奴隷の子守り等、奴隷の本来あるべき姿ではありません」
落ち込むヘリオスさん、仕方ない助けてあげよう、
「マルチェリーナ、ラムを奴隷として貸し出すのはダメなのか?
ヘリオスさんの部屋の掃除や洗濯をさせてみたらどうかな」
「まぁ、それでしたら……」
▼▼ ヘリオス ▼▼
ついに夢がかなった、小さな女の子を家に呼べる、羊獣人の子ラムはまだ8歳、素直で天使みたいに可愛い子だよ、
「さぁ、ラムちゃん、着いたよ」
「はい、ヘリオスさん」
「う~ん、ボクの家にいる間だけでも“お兄ちゃん”って呼んでくれないかな?」
「お兄ちゃん? うんいいよ、ヘリオスのお兄ちゃん」
「ラムは可愛いなぁ」
「お兄ちゃん、どこをお掃除したら良いの?」
「その前にお着替えしようか、ラムちゃん今日はメイドさんだからメイドさんの服を用意したよ」
ラムをリビングに連れていくとそこには数着の子供服、今日の為に用意したのだ、
「たくさん有るけど、どれを着たら良いの、お兄ちゃん?」
「順番に着てみようか」
「うん、分かった」
そう言うと無防備に服を脱ぎ始めたラム、真っ白で染み一つない幼女の素肌が目の前に来ると言う眼福。
幼女の生着替えを堪能した後はメイドさんごっこ、
「ご主人様、お帰りなさいませ」
“わたしは大人よ”と澄ました顔で言っている姿を見ると頬がほころんで来る、
甘いお菓子をたくさん食べて、メイドさんごっこで遊んだり、至福の時を過ごした。
今はラムが帰り、今までと同じ一人には広すぎる家、ラムが来る前よりも更に広く感じる、そして今まで感じた事の無い寂しさ、
「あーあ、小さい子と一緒に暮らしたい」
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