第20話 ママにもランドセル
マルチェリーナは荷物運び専門の奴隷、ハンスさんの工房でランドセルを作ってもらうのだけど、ママ奴隷は大人の体格、しっかり採寸して身体の比率にあったランドセルを作ってもらった。
小学生のランドセルは1年生から6年生まで、同じサイズの革のバッグを背負うけど、成長期の最中の子供には無理がある、
新入生を後ろから見るとランドセルが歩いている様に見えるし、6年生で体格の良い子だと、背負うのがきつくて手提げで登校していたりする、
ランドセルで無理が出るのは背負いヒモの部分、バッグの中心付近首筋辺りから両肩を通って脇の辺りに伸びるけど、
体格が良くなり肩幅が広くなると、これがキツイのでハンスさん謹製のランドセルは幅を広くして自然な形で背負えるように工夫された、
背負いヒモの位置は肩の形に合わせると無理なく背負えるけど、あんまり幅が広いと背負いヒモがずり落ちてしまう、登山用のバッグなどでは胸元にバックルが付いているのは、左右ヒモがずれないように連結させるため。
マルチェリーナのランドセルは普通の背負いカバンに見えて来るよ、彼女は溢れる様な巨乳なのになで肩をしているので、肩ひもがずれない様に、二本のバックルを胸の上と下で結ぶと、乳袋の出来あがり、裸よりもエッチに見えるぞ。
そうそう付属物のラムにも黄色い通学帽とランドセル、歳相応のロリロリした小学生だね、
「ご主人様、こんな立派なカバンをありがとうございます」
「これからはそのカバンをパンパンにするくらい魔石を集めるからな、頑張ってくれよ」
「はい、マルチェリーナは誠心誠意お仕えいたします」
▽
帽子とランドセルの次は迷宮用の服、いつものマダムが接客している店に行ってお任せメニュー、
「彼女は新しい奴隷なのでな、加護縫いの服を準備して欲しいのだ」
「かしこまりました、オース様、
肌が雪の様に白いですので黒革が映えますね、女性らしい服で宜しいでしょうか?」
「ああ、そちらのセンスに任せるよ」
買い物でもなんでも“お任せ”はよろしくない、面倒でも自分の目で見て選ばないといけない、女性らしい服装の言葉の意味は豊満な乳房を強調し、ほっそりとした腰周りは真っ白な雪肌、キュッと持ちあがったヒップを包むパンツと言うか、前と後ろの布を紐で結んだだけの紐ビキニ、
隠れている部分の方が遥かに少ないセクシー衣装、
「こちらのお召物はいかがでしょうか?」
「悪くは無いと思うが、素肌を晒し過ぎじゃないのか? 迷宮で怪我をしてしまうぞ」
「ああ、それでしたらご心配なく、加護縫いの服をまとうと、その力は全身に及びますから」
そう言えば迷宮では戦闘以外にも壁に腕をぶつけたり、つまずいて転んだりもしたが、怪我をした記憶がない。
「オース様、あちらのお子様にも同じ物をご用意できますが、いかが致しましょう?」
さりげなくラムの方に視線を誘導する、ランドセルは注文したけど加護縫いは予定外だよ、
「まぁ、まだ小さいし急いで買う事もないだろう」
「左様でございますか、加護縫いの服は一旦作れば、身体の成長に合わせて仕立て直すのが普通でございますよ、
一生ものの服ですから子供のうちに仕立てておけば愛着も湧きますし、二着まとめてならばお値段もお得になって……」
俺は不器用な冒険者、手馴れの商売人の前ではカモ状態、気がつけばラムの服もしっかり買っていた。
ラムはワンピースっぽい服だけど、生地が黒いのでスクール水着に見えなくもない、だけどボトムはお尻が半分見える様な攻めたデザイン、8歳児のプリプリしたお尻が妙になめかましい、
マルチェリーナは俺にペコペコ頭を下げた、
「わたしの様な奴隷にこの様な高価な服を買って頂くだけでなく、ラムにまでも新品の服をあつらえて頂きありがとうございます」
「加護縫いの服を着ていると怪我をしにくいそうだ、そう思えば安い買い物だぞ」
「わたし達は獣人族、それも奴隷に身を落とす卑しい身分、新品の服を買って頂くなど夢の様な事でございます
オース様はお貴族さまでしょうか?」
「俺は貴族ではないが、遠い国の出身でな、その国では服は全て新品を買っていた、中古の服は余程珍しくないと売っていない国だったぞ」
▽
アパルトマンに帰るとバンビーナが豪勢な夕食を用意してくれてあった、
“新しく来られる方がいるのですからご馳走を用意するのは当然です”
薄い胸を自慢気に反らしている先輩奴隷。
その後湯あみをして、寝所に向かう事になるのだが、やはりトラブル、
「わたくし達親子は奴隷でございます、夜伽ならいざ知らず、一緒に寝所に行くなんて無礼な事は出来ません」
先輩のバンビーナが上手くいなした様だが、奴隷と言うと何でも言われた事をする人形の様に思いがちだが、しっかりと自分の意思があり、奴隷としての矜持を持った一人の人間だ。
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