第18話 人間だって奴隷になります
転移魔法陣で地上に帰って来ると、出迎えてくれたのはヘリオスだった、これは都合がよい、
「探索お疲れさまでした、あっ、これはオース様、こちらの方は?」
「8階層で助けを求めに来てな、手助けの謝礼金については了承済みだ」
「左様でございますか」
「それとだな、こんな首輪を拾ったんだ、今時こんな事をしている冒険者がいるなんて信じられないよな」
チラチラと負傷した奴を見ながら言うと、ヘリオスも得心がいったのだろう、
「まこと、こんな輩がいるので冒険者の評判が悪くなると言うものです、
ところでオース様、手助けの謝礼金はいかほどになりますか?」
「金貨30枚で話がついている」
「妥当な金額で問題無いですね、かしこまりました、只今書類を作成いたします」
▽
普段はナヨッとして中性的な感じ、人当たりも良いヘリオスだが、今は復讐の鬼となり、冷酷に宣言する、
「告!冒険者マチソン、貴殿には冒険者オースに対し金貨30枚の謝礼発生義務が生じました、
また、負傷が見受けられるので当ギルド内治療所で治療を施します、治療代としてギルドより金貨2枚を請求いたします、
なおこの治療代に関しては怪我の程度により増減があります」
事実上の死刑宣告を告げられた奴、名前はマチソンって言うんだね、もう会う事も無いだろうけど、
「さぁ、マチソンさん、金貨32枚15日以内にご用意出来ますか?」
「出来る訳ないだろう、そんな大金」
「返済能力無しですね、では冒険者の身分は剥奪し責務奴隷となります」
そう言うと容赦なく首輪を嵌めるヘリオス、首輪と言ってもバンビーナがしている様なオシャレな感じは無く、ゴツイ鉄製だ。
「さて、責務奴隷処理は完了いたしました、オース様、今後の彼の処遇に関してご意見やご要望はお有りですか?」
「そうだな、戦闘能力はたいした事がない、戦闘奴隷ではなく、軽作業とかが良いのではないかな」
「なるほど、軽作業と言うと公益従事者あたりがよろしいですね」
「それはお任せするよ、お金が返ってくれば文句は無いよ」
公益従事者なんて呼ばれているけど、下水道の汚物掃除とか、動物の死体を処理したり、墓穴を掘ったり、みんなが嫌がる仕事をさせられている、完済は無いだろうけどしっかり働いてくれよ。
「後で詳しく説明致しますが、責務奴隷マチソンは当ギルドで怪我を治療した後、行政府の責務処理科と言う所に送られます、その時点でオース様には処理科より金貨30枚が支払われます」
「わかった、少しは胸のわだかまりが解けた様な気がするよ」
「まったくです、そうそう、あの首輪をすると自殺は出来ません、と言うか頭の中に自殺と言う選択肢自体が無くなるそうですよ」
「完済まで働くしか無い訳だ」
「単純に計算して32年かかりますね」
終身刑みたいなものだが、子供をオトリして自分だけ助かろうなんて人間に丁度良いかも。
▽▽
「ご主人様、どうもありがとうございました」
バンビーナが俺に礼を言う、
「気にする事は無いぞ、困っている冒険者を助けたのだから謝礼を貰うのは当たり前だ、当然の権利だよ」
ちなみに謝礼金はどんなに多くても金貨3枚だそうだ、それ以上吹っかけてもギルド職員に止められるそうだが、ヘリオスが上手く立ち回ってくれたおかげで法外な金額を請求で来た。
「ところでご主人様、提案があるのですが、宜しいでしょうか?」
「何かな、バンビーナ」
「わたしも剣を持って戦いに参加する様になりましたが、荷物持ちが足りないと思うのです、安い買い物ではないと思いますが追加で奴隷を購入されてはいかがでしょうか?」
これは俺も感じていた、獣人は人間よりも身体能力が優れているとはいえ、
小さな身体で重いランドセルを背負いながら剣を振るのはさすがに無理がある、
「そうだな、バンビーナはどんな奴隷を買えば良いと思う?」
「えっとですね、やはり体格の良い大人の奴隷が良いと思います」
「ふーん」
「ご主人様は性欲解消の奴隷を購入するべきです!」
珍しく声を荒げたバンビーナ、
「わたし市場に寄って行きますね」
そう言って雑踏の中に駆けていったバンビーナ。
耳の良い獣人だ、毎朝ハァハァしているのはバレていたみたいだ、
オナニーの現場を家族に見られた気分だよ。
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