第13話 ベッドの上では生まれたままで
バンビーナがエストックを握ってから数日経った日の朝、俺はいつもより早く目が覚めた、
冒険者稼業を始めたばかりの頃は疲労困憊でベッドに入り、朝になっても疲れが抜けない状態だったのだが、体力的に余裕が出来たのだろうか、自然と爽快な目覚め、
本当はもう少し夜遅くまで起きていたいのだが、バンビーナは俺が寝入るまでベッドに入ろうとしないので、自然と朝型のライフスタイルになってきた、
隣からはスースーと子供らしい寝息、カーテンの隙間から差し込む朝日がシカ耳の女の子の顔を照らす、寝顔も可愛らしいのだが、バンビーナの自己評価は信じられないくらい低い、顔をジックリ見られるのはベッドの中だけ、
頭の上の耳がクルクル動き出した、そろそろバンビーナが起きる時間だな、
こちらの世界では寝る時は全裸、バンビーナにパジャマの提案をしたら、
“裸にならないと疲れが取れません”
と返された、床で寝る奴隷ですら裸になって夜具にくるまるそうだ、
見た目10歳が真っ白なシーツから身を起こす、シワ一つない瑞々しい肌に少し色が濃くなった部分が見てとれる、
普段は服で隠れた部分を見られる事を恥ずかしがるバンビーナだけど、朝のこの時間はだけは無防備にツルンとした肢体を晒す、手足は華奢で胸もまだささやか、何と言うかアニメのキャラが現実になった様な感覚、童貞の俺には眼福だ、
素早く、だが一切音を立てないでベッドから抜けだしたバンビーナは丁寧にお辞儀をすると、プリプリしたお尻を見せながら部屋から出て行った、
“二度寝しようかな”
30分程ベッドの中でウトウトしていると、唇に感触を感じる、もう朝ご飯の支度が出来たのか、最初の頃は結構時間がかかっていたのに手際が良くなったな、
家事は手早くなったけど、秘密の口づけの時間は長くなる一方、
“ご主人様~”
普段絶対に見せないトロンとした顔で小さくつぶやく奴隷娘、
「ご主人様、朝食の支度が整いました」
スンッとしたメイドらしい表情になったバンビーナが言う、
「ああ、もう朝か」
俺にとっては女の子にキスして貰えて役得でしかないのだけど、主人の唇を貪るのは奴隷としてあるまじき行為なのだろう、
そんなバンビーナの立場を考えて“全然知らなかった”と小芝居をしてトイレにこもるまで一連の流れ。
朝食は目玉焼きが乗ったトーストとサラダ、それとベーコンにマッシュポテト、新鮮な牛乳で流し込む、
前の世界を思い出すと健康的になったし、何よりも一人じゃないと言うのが精神的に充実している、
「毎朝こんなに手の込んだ食事を作って、大変だろう」
「いえ、ご主人様、前の晩に下ごしらえは済ませてありますから、温めるだけですよ」
細くて折れそうな腕で可愛らしく力コブを作る動作をしながら、
ニッコリ微笑むバンビーナ、朝の一番の活力は君のスマイルだよ。
▽
俺の横を歩くバンビーナ、時々主人の俺を見上げ、目が合うとニッコリ微笑む、
おヘソがチラチラ見えるレザーの服は肩も太股も丸出し、それだけでも充分に興奮するのだがランドセルと黄色の通学帽を被せたら、更にいけない世界に入り込む、
ダメ押しに腰に吊るした細く短い剣、低身長のロリ娘が武器を持つと言う背徳の極みだ。
色々な人を喜ばせそうな新戦力は絶好調、今までは無意識にバンビーナの安全を考えた戦い方をしていたけど、今では大事な攻撃力、
俺達は8階層まで降りて行く、二人の連携もしっかりしてきたので、そうそう遅れをとる事はなくなった、
薄暗い迷宮通路をヒタヒタと歩く、斜め前を歩くバンビーナがハンドサインを送って来た、
“この先にラガルトが4体います”
トカゲもどきの魔物がいるらしい。
俺は親指を立てて了解の合図、バンビーナは静かに、だが素早くランドセルを下ろし丁寧に冷たい床に置く、これは音を立てないと言うよりも大事なカバンに傷を付けたくないと言う気持ちだろう、
小柄な女の子は自身の肘くらいの長さのエストックを抜き、更に慎重に歩みを進める、
“4体発見、飛びます”
と合図が来た、
迷宮通路をラガルトの群れに向かって疾走して行く獣人少女、魔物の数歩手前でジャンプして掛け声と共に中型犬くらいの魔物を一気に飛び越えた、
突然の出来事だが、単純な本能で生きている魔物はいきなり現れた敵に向かっていく、
俺はタイミングをずらして迷宮通路に出て、尻を見せている間抜けなラガルトを次から次に葬っていく、
向かい合って勝負するのは戦いだが、無防備な後ろから一方的に攻撃するのは単なる作業、
魔物と言う生き物は動物と違って切っても血が出たりしない、灰色の気味の悪い筋肉の様な物が詰まっているだけ、
バンビーナは腰のナイフを取り出し魔石回収、魔石を取り出すと魔物の死体は砂の様にサラサラと流れて消えてしまう、
異世界クオリティにはいつも驚かされる。
いつもの様に魔石を取り出しているバンビーナが歓声を上げた、
「どうした、バンビーナ」
「ご主人様、ドロップです!」
バンビーナが差し出したのは白い棒、素材は木でもなければ金属でもない、セラミックみたいだけど、陶器もセラミックだよね。
「これは何だ?」
「おそらくインゴットでしょう、鍛冶屋とかが使う素材だと思うのですけど」
「そうなのか?」
「たぶん、武器工房に同じ様な形の物がありましたし」
ここ最近のバンビーナは身体能力だけでなく、注意力や観察力、思考力も底上げされている、最初の頃は荷運びしか能の無いドンくさい娘だったのに、
少女のツボミが開花していく。
▽
転移陣を使って地上に戻る、地下の暗闇から地上の明かりの洗礼を受け、目を細める、そんな時に俺を呼ぶ声、
「あれ! 大須じゃないか」
久しぶりに声をかけて来たのは俺と一緒に転移してきた八事さん、目ざとくバンビーナを見つけると、
俺の肩を掴んで耳元で囁く、
「やったじゃねぇか、ロリっ子が好きなんだろ」
「いや、別にそう言うわけじゃ」
「大丈夫だって、ここは異世界、無理やりこっちの世界に飛ばされたんだ、やりたい事をやればいいのさ、日本の警察はやってこねぇよ」
ニヤニヤ笑う八事さん、この人相変わらずメイドさんとエッチしまくっているのかな。
「やりましたね、大須殿、拙者もケモミミには目が無いのでござるよ」
オタク女子中学生伏美、ニヒィィィィとオタク特有の笑い
「耳触って良い、先っぽだけだから、ねぇ、いいでしょ~
大丈夫だって天井の染み数えている間に終わるからさぁ」
伏美は相変わらず平常運転、
バンビーナの鹿耳をフンフン鼻息を鳴らして触っている。
突然の出来事にバンビーナは涙目になりながらこちらに助けを求めている、
その後二人とは近況を話したが、今では21階層まで進んでいるそうだ、王宮騎士団のサポートがあるとしてもすごいね、
そして、もう一人の転移者鶴舞瑞穂さん、彼女は俺を氷の目で見下ろしている、ロリ少女を捕まえてJSのコスプレをさせている変態を見る目だ、
当たっているだけに何も返せない、向こうも俺と話をしたくないのであろう、
平気だよ、大人の女性からこういう扱いを受けるのは前の世界と同じだ
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