第18話 城丸詩帆
翌日から、休み時間やお昼休みに言い寄ってくる女子はいなくなった。少し寂しい気もするが、贅沢な悩みというものだろう。その分というか、茶山の席には女子が集まっていて、向こうで争奪戦が始まったようだ。それから古川や池田の席にもちらほら女子がいて、一位争いに決着がついたことで、女子たちに今までとは異なる動きがみられるようになった。
「キミが香取くん?」
休み時間に教室に戻る途中、二人組の女子生徒に声を掛けられた。知らない顔だ。クラスの女子ではない。ただ、上級生だというのはわかった。
「そうですけど」
ダン高の制服は、学年ごとにタイやボタンの色が異なる。一年生は緑だが、彼女たちは赤だ。ということは。
「アタシたち三年なんだけど、キミたち、順調に探索してるんだってね」
「もうジョブも取ったんだって? すごいわ」
「どーお? キミさえよければ今夜、休憩室でイイことしない?」
「てか、今からでもいいわよ。ヤル?」
「いやいやいや、いきなりなんですか」
急展開過ぎてワケがわからない。ちゃんと説明してもらう。
聞くところによると、彼女たちの名前はアイダ先輩とテカワ先輩というらしい。
髪は茶髪で、お化粧をしていて、爪はカラフルで、スカートは短い。でもケバケバしくはない。たぶん元がいいからだろう。二人とも、当たり前に可愛いし、年上の色気がすごい。たった二才差でもすごく大人に感じる。ザ・ギャルって感じの先輩だ。
どうやら二人は、学内サイトの名簿から、ジョブを取得した一年生を探してお誘いをしているとのこと。俺のことはC組の生徒を捕まえて容姿を聞いて、手当たり次第に声を掛けたらしい。
鬼の行動力だな……。
「キミ、有名人だったからすぐわかったよ」
俺って有名人だったの?
まあジョブを獲得したのは早かったし……いかん、顔がニヤついてしまう。
「てかヤル? 今ヤル?」
「三人でもいいよね。美味しさ二倍だから」
「別に減るもんじゃないし、とりあえずウチらとヤろっか?」
「ま、待って下さい、俺はふつーに授業ありますから。サボれませんよ」
てかヤル? ってなんだよ。なにが「てか」なんだよ。
今にも引っ張っていきそうな勢いの二人をとどめる。
「かったいなー、新入生。昔の自分を見てるみたいよ」
「あったねー純情な時代。処女だったもんなー」
想像できないけど。生まれたときからギャルでしたって感じにみえるけど。
「まーいいや、ソノ気になったら連絡ちょーだい!」
「キミなら優先して相手したげるからね」
そういって半ば無理矢理、連絡先を交換して去っていった。
すごいな……。
ギャルがダン高に来ると、いや、ダン高でギャルになるとこうなるのか。
嵐のようだったと思いながら教室に戻った。
だが、今週は園美とは禁止週間なのでエッチができていない。なのでムラムラしている。まあエッチをしていようが、いまいが毎日ムラムラはしているのだが。
俺は昨日、園美から浮気の公認をいただいた。
俺は、園美がいてくれれば十分だと思っていたが、ちょっと見通しが甘かったと反省している。どうやら、俺の身体は一日でも処理しないと大変なことになってしまうらしい。
今朝も、油断していたらオネショのようになっていた。オネショのように、だ。オネショではない。
おそらく、もともとの性衝動に加えて、女を知ったことで身体の
一人の女を愛す。それはこの身体では難しい。
その一人の女に負担を掛けすぎてしまうからだ。
なにか間違いが起こってからでは遅い。園美とも約束した通り、我慢は厳禁だ。身体に正直になろう。
これは仕方のないことだ。決して己の欲望のためだけではないのだ。
とはいえ、誰にお願いするか。
『てかヤル先輩ズ』に頼むのが一番話は早いのだが、あの様子だと、他の一年生にも声を掛けているだろうし、百人斬りの一人になるのはなんか嫌だな。
廊下を歩いていたら教室に入っていく長谷川教官を見かけた。
日本史の授業を担当してる女教官だ。授業中の性的アピールがすごくて、男子から魔性の女教官と呼ばれている。大人のお色気がムンムンだし、今もスカートが短くてパンツが見えそうな勢いだった。
でも、彼女の立場は一応教官だ。一応っていうと失礼かもしれないが、そういう役目で集められた女子生徒とはワケが違う。
ただ、俺は彼女からはけっこう気に入られていて、なんとなくだが、お願いしたらお相手してもらえそうな気はしている。そのかわり厄介事に巻き込まれそうな気もしている。綺麗な花には棘があるってやつだ。
てかヤル先輩同様、可能性としては残しつつも、他にいい子がいる気がする。
C組の教室の前で美少女と目があった。彼女は俺をみてニコッと笑ってくれた。俺はこの女子だと思った。彼女はランチタイムに頻繁に俺の席に来てくれていた。
こういうのは下半身で考えるのが一番いい。俺の下半身は、今一番彼女としたいと言っている。
「城丸さん、ちょっといいかな」
「ええ、もちろん。どうしたの、香取くん」
セミロングの黒髪を後ろで三つ編みにしている。前髪は目元で切り揃えられていて、丸メガネをしている。服がパツパツになるくらい胸が大きい。地味そうな容姿をしているが、彼女が美少女であることはわかっている。俺の中での図書委員だ。
「えっとね、なんていうか……」
いや、待てよ。
これってなんて誘えばいいんだ?
俺は昨日の昼に、園美をパートナーに選んだことをクラスの女子生徒にアピールしたわけで……。そんな俺が翌日、別な女にお相手を頼むのってクズすぎやしないか?
そもそも恋してもいない、友達かどうかも微妙な
いやどうしよう、ほんと。これ、なんて頼めばいいんだろう。
「人前ではいいにくいこと?」
「あ、うん。たぶん……そうかな?」
俺がグズグズしてると、城丸さんが気を利かせてくれて、廊下の隅に移動してくれた。彼女が身を寄せてきて胸が身体に触れる。一気に血流が流れ込んだ。
「ぁぅあ、えっと、こういうこと頼むのって、おかしいし、失礼かもしれないんだけど。いや、もう絶対、間違いなく失礼なんだけど…………」
「……香取くん……私としたい?」
ウジウジした俺を見かねて、先に言われてしまった。彼女が助け舟を出してくれたのはわかった。俺から話があると誘ったのに、だ。
城丸さんだって十五才の女の子だ、恥ずかしいに決まってる。自分の都合を押し付けてるのに、情けないな、俺。
「う、うん。俺、城丸さんとしたい。城丸さんからしたら、何都合の良いことって思うだろうけど、俺は……」
口に指を当てられる。
「すとっぷ……いいの、私も香取くんとしたいわ」
「……本当? 浮気みたいなものなのに?」
「浮気とは違うのではなくて? 香取くん辛いのでしょう。五菱さんは……あの日かしら?」
「うん。まあ、そうなんだけど……」
「なら決まりね。夜に連絡して」
そう言って連絡先を交換した。あっさり話がまとまってしまった。
本当にいいの?
マジで?
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ダンジョンから帰ってきたあと、夜になって中庭で待ち合わせた。
この学校では中庭に待ち合わせをして、休憩室に向かうのがマナーのようだ。直接休憩室で待ち合わせたりはしない。世間でも、ラブホテルの前で直接待ち合わせするカップルは、なかなかいないだろう。
休憩室の入口でモニターで受付をして、部屋に入っておしゃべりする。
「よかったわ、香取くんが声を掛けてくれて。私、できれば決まった相手としかしたくなかったの。その相手が香取くんならとても嬉しい」
城丸さんは、下は制服のスカートで、上にゆったりとした黒いトレーナーを来ていた。体の線が出にくい服だけど、それでも胸の主張が激しい。
「俺でよかったのかな。男としては最低な気がするけど」
「普通の学校なら、でしょう? ここは特殊だもの。浮気や複股を気にする女子なんていないわ」
「そうかな……」
「たぶん香取くんは強いから、そのあたり鈍いのかもしれない。十五才で命掛けでダンジョンに潜ろうとする男子って日本だと希少だし、多くの生徒は、必死で毎日モンスターと戦っている。廊下を歩いてるだけで、生傷が絶えない男の子たちが何人もいる」
ダン高生の死者数については、はっきりと公表されている。ファンタジーに憧れてダンジョンに興味を持つ子どもたちも、進路を考える頃には、現実を知り諦めてしまう。もし、本人が熱望しても、大抵は家族や教師の反対で諦めてしまう。
「日本は、世界的にみても上手くダンジョンを抑え込めているけど、それでも、鹿島と出雲で十万人以上の死傷者、行方不明者が出たし、世界には滅んだ国もある……実はね、私、暴災孤児なの」
「えっ」
城丸さんの話によると、十年前の鹿島のスタンピードで両親が亡くなってしまったらしい。当時五才だった彼女は、施設で同じような境遇の子どもたちと育ったそうだ。ただ、その施設は彼女にとって、あまり居心地の良い場所ではなかったようだ。
「中学生になるとね、胸も膨らんできて、施設の男の子に言い寄られることが増えてきたの」
その頃の城丸さんは今のように、髪を三つ編みにしたり、前髪を目元まで伸ばしたり、メガネを掛けたり、つまり地味な格好はしていなかったそうだ。相当かわいい女の子だったと想像できる。
そして、児童養護施設では、児童一人一人に対して万全のケアなど期待できない。慢性的な職員不足、資金不足が問題となっている。
「だから、自分たちのことは、ある程度自分たちで解決しないとけけないの。私は男の子の目を引きすぎてしまって、断っていたら施設で孤立してしまった。しかたなく、施設で影響力のあった三つ年上の男の子と付き合ったわ」
でも、その男はあまり好感は持てなかったそうだ。ヤンチャなタイプで、すぐにヤりたがるし、セックスは乱暴だし、断ると機嫌が悪くなるのだとか。
なんてやつだ。許せん。
「一応、彼のおかげ平穏に過ごせるようにはなったの。でも、私が中学を卒業するときに、彼は高校を卒業して、施設を出ていくことになるから、困ってしまって。十四才のときには胸もかなり大きくなってしまって……なんとか、容姿を地味にして目立たなくしていたのだけど、男の子のそういう視線って女子にはバレバレなのよ」
俺は恥ずかしくなって顔を覆った。
「いや、ほんと、ごめんなさい。俺もそういう目でみっちゃってた……」
「いやだ、気になる男の子の視線は別よ。うふふ。――それで、施設にはいたくないし、どうしようと思ったら、ダンジョン高専の話を聞いて。ものすごく頑張ってここに入ったの」
そうだったのか。
ダンジョンによって人生を狂わされた人はたくさんいるはずだ。
ダンジョンは、扉が出現して数ヶ月の間が一番暴走が起こりやすいらしい。
確か、出雲の暴走が七年前に起きて、鹿島と同規模の被害がでた。奈良が五年前で、数千人の被害。二年前の厳島の時に、初めて民間人の死傷者がゼロに抑えられたと聞いている。安芸の宮島は、離島だからというのもあるが。
「だから、十代で命をかけて戦ってくれる男の子たちは、少しくらいワガママをしてもいいと思うわ。それにね、私だってエッチなことは好きだし、お金も稼ぎたいの。ただ、元カレみたいに強引な人はもう懲り懲り。香取くんって強さを鼻にかけないし、いい意味で普通だから好きよ」
ベッドの横に座りながら、身体を押し付けられる。めちゃくちゃ柔らかい。
「香取くんはどぉ? 私、元カレにたくさんヤラれちゃってるけど、香取くんはこんな私をどう思う?」
胸がお互いの体で押しつぶされながら、彼女は上目遣いに俺を見上げてくる。
ヤバい。めちゃくちゃかわいいし、いい匂いがする。地味系美少女のクセに、ものすごく積極的だ……。
「元彼に何回も、何百回も、……いえ、お口やおっぱいも含めたら、千回以上ヤラれてるかも……香取くんは、そういうの苦手な人? それとも……」
あっ、ツンツンしないで……。
なんだろう、これ。
まだ付き合ってもないし、俺は公認浮気野郎なのに、凄い寝取られ感。あと、地味子で挑発的なのがズルい。ズルすぎる。
「……ああ、よかった。香取くんは興奮しちゃうタイプみたい。うふふ」
城丸さんが上着を脱ぐ。黒いブラジャーに包まれたおっぱいが見える。
すごい。
普段の制服でよく覆えてたな、ていうくらいの、圧倒的巨肉感。
彼女がベッドに座ってる俺の股に入り込んで、ズボンとパンツを脱がせてくれた。
アソコは既に勃然の構えだ。
「元彼より大きいわ。ふぅっ」
あっ、息がくすぐったい。
「実は私、目は悪くないの。だから、このメガネは伊達なの。それは、敢えて地味な格好をしてた、というのもあるのだけれど――」
城丸さんが、手で俺のをシュッシュと刺激しながら話を続ける。
唇を俺のアソコに触れさせながら話すものだから、唇と息の刺激がくすぐったくてたまらない。
「――もう一つ理由があってね、元カレが顔に出すのが好きだったの。でもアレって目に入ると痛いのよね。そういうの、全然気を使ってくれない人だったの。だから、伊達のメガネで守るようにしてるの」
実は、彼女はけっこうおしゃべり好きだ。最初はそうは思わなかったけど、仲良くなった相手にはいくらでも話せるタイプの人だ。
唇をより強く押し付けて、舌でチロチロしながら手の動きも早くなる。
「ぅぁ……っぁ……」
「だから、好きに出していいからね。顔でも口でもいいし、いつでもいいから……」
手と唇と舌の刺激で限界に達する。
「うぁああっ……っ!!」
耐えきれなくて爆発した。
すごい勢いで出る。一回、二回、三回……。
びゅっびゅっと噴射して彼女のメガネや顔や髪を汚す。
まだ出る。四回、五回、六回……。
先にでた液体が顔から滴り、おっぱいやスカートにまで垂れてしまった。
七回の痙攣でようやく収まった。
「香取くん、すごい……」
「はぁ……はぁ……」
すごかった。
こういうのは比べるものじゃないけれど、園美と同じくらい気持ちよかった。
「香取くんが興奮してくれて嬉しいわ……私、香取くんにずっと選んでほしいの。一番でなくても私を抱いてほしい。だから、今日はたくさん満足させてあげる。頑張ってね」
そういって、頬ずりしながらニッコリ笑ってくれた。
どうしよう。
好きになっちゃいそう。
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