第15話 五菱園美②
彼にメールを送ったあと、急いで寮に戻り、少しだけご飯を食べて、身体を洗った。
頭のてっぺんから足の爪先まで、隅々まで綺麗にした。服はどうしよう。あまり気合を入れ過ぎてはいけない。彼に抱いてもらうことを考えると、脱がせやすいものがいいだろう。下着はいつもと同じもので、新品を開封して着衣した。
「どうしたの。そんなに気合をいれて」
真剣な態度でドタバタ身支度を始めたものだから、同室の鈴鹿ちゃんにからかわれてしまった。
わたしはどこまで事情を話したらいいか迷ったけれど、鈴鹿ちゃんは相川くんに狙いを定めていた。無関係ではない。だから、彼からのメールの内容について話した。
香取くんたちが、郷田くんたちに勝ったということを。
そしたら彼女はとても驚いて、その後、お礼を言われた。
この情報に大きな価値があることは、彼女にもすぐわかった。茶山くんと郷田くんが脱落した以上、一年C組は香取くんのチームを中心にまとまっていく。もう対抗馬はいない。男子レースは決着した。つまり、相川くんの争奪戦も激化するだろう。
鈴鹿ちゃんは、わたしの目的を察して、机の棚から小さくておしゃれなガラス瓶を取り出した。
「これ、けっこう高いの」
そう言って、彼女はわたしの手首と首に吹きかけてくれた。
すごい。高級メロンのような、甘くて爽やかな香りがする。
それから、わたしが選んだ服をチェックしてくれた。
「園美、今日は安全日?」
「ええ、そうよ」
「なら、ゴムは使わないほうがいいわ」
「どうして?」
「もし、香取くんもジョブを獲得しているなら、たぶん一回では済まないわ。何回もすることになる。初心者がゴムを何度も付け替えてたら、冷めるし、避妊の効果も薄くなる」
そうなんだ。
わたしは経験がないから、そういうことはわからなかった。
「それに、初体験でインパクトを与えたほうがいい。彼、絶対
それは……そうだと思うけど。
お互い初めてだと思ったらお腹の奥がキュンとしてしまった。
鈴鹿ちゃんは頑張れと言って見送ってくれた。
中庭に着いて、彼の無事を確認して、心の底からほっとした。これほど神様に感謝したことはない。
彼が手を差し伸べてくれて、その手を握ったらドキドキしだした。
彼は、鈴鹿ちゃんの予想通り、
職業を獲得できる状態なら、アッチのほうはかなり辛かったはずだ。
そして彼を休憩室に誘った。
休憩室で、彼にすべてを打ち明けた。わたしの生い立ちや、目的や、この学校のシステム。彼はとても驚いていた。特に、性欲について聞いてみたら、彼は恥ずかしそうに、とてもつらいと言っていた。下の方を見ると、柔らかそうな生地のスウェットパンツが、明確に膨らんでいるのが見えた。
身体の奥が疼く。そのときがどんどん近づきてきてる。ドキドキが止まらない。
彼に告白して、彼も受け入れてくれた。優しいキスをしてくれた。次はちょっぴり激しいキス。口の中に彼の舌が入ってきて、わたしもそれに絡めて、びっくりするくらい気持ちよかった。
明かりを暗くして服を脱ぐ。
彼はわたしを押し倒したりはしないで、仰向けに寝かせてくれて、宝物に触るようにわたしの胸を愛撫してくれた。
彼は、わたしに触れるときはいつも優しく扱ってくれる。
初めて顔に触れたときも、手を繋いだときも、キスのときも、そして今も。
胸の先を舐めたり口に含んだり。なんだかくすぐったいし、恥ずかしい。
でも嬉しいし、愛おしい。
ああ、彼で良かった。本当にそう思う。
そして、名前を呼ばれてそのときがきた。
彼が挿れやすいように、腰を浮かせて足を広げてあげた。彼は場所がわからないみたいだったから、手で誘導してあげた。
初めて触った彼のものは、手に収まらないくらいの大きさで、熱くてドクドクしてて、これが本当にわたしのなかに入るのか不安になってしまった。初めてだと痛いと言う子もいる。緊張と期待と不安で胸がどうにかなってしまいそう。
でも、やっぱり彼は優しくしてくれた。
ゆっくり、ゆっくりと、ほんの少しずつ進んでくれて、わたしはまったく痛くなかった。彼と同じく、わたしも準備万端だったみたいだ。スムーズに彼を受け入れることができた。
そして、たぶん奥まで入って、ああ、彼と一つになれたんだと思ったら、彼が「うっぁあっ」と呻いて、わたしのなかでビクンと震えた。
彼は、わたしを名前で呼んでくれるようになったのに、「五菱さん」呼びに戻って、苦しそうに「ごめん」と謝りだした。
一瞬驚いたけれど、わたしは何が起こったのかすぐに察した。
こういうことは、ちゃんと黒崎先生から聞いている。保健の授業では、夜の
「大丈夫よ」
わたしはそう言って彼を安心させようとした。こういうときは責めたり、驚いたりしてはいけないそうだ。
彼は、わたしのなかだけじゃなくて、全身を震わせて何かに耐えているみたいだった。
どうにかして、彼を安心させてあげなくては。
だから、彼の首に手を回して身体を引き寄せた。彼とわたしの間にあったスペースをなくして、足を彼の腰に回してクロスさせた。それで完全に身体を密着させた。
人肌が一番落ち着くはずだ。赤ちゃんがそうなのだから、間違いない。わたしには確信があった。
「大丈夫よ、純。……いっぱい出して」
そうして彼の頭や背中を撫でて、しばらくして彼は落ち着いたようだった。
「……五菱さん……」
彼の口に指をたてた。
「名前で読んで?」
「……うん……園美、俺……ごめん、気持ち良すぎて……」
「大丈夫。そのためにわたしがいるの。……まだできる?」
彼のは、わたしのなかで全然収まっていなかった。彼はうんと言って、わたしたちはまたキスをして再開した。でもやっぱり彼はすぐに達してしまって、心苦しそうにするから、その度に大丈夫と言って聞かせた。それを五回繰り返して、彼のものは満足したようだった。
彼は恥ずかしそうで、悔しそうで、しきりにごめんと言われた。
その理屈は聞いていた。なんでも男の子というのは、セックスをすれば、女を満足させないといけない、という固定観念があるらしい。
けど、わたしは気にしていなかった。
だって、男の子を慰めるのがわたしたちの役目で、いい雄に選ばれることが、わたしたちの女子レースだからだ。
彼はわたしの身体で満足してくれた。何回もわたしのなかで弾けて、あそこだけじゃなく、足も、手も、お腹も、背中も震わせて感じてくれた。
彼がイクと、女としてのプライドが満たされた。なかでピクンと跳ねる度に、彼のものが、「大好き」とか「参りました」とか「あなたに首ったけです」と言っているようで、おかしかった。彼と彼のものが愛おしかった。
わたしにとって一番大事だったのは、彼がわたしに満足してくれるか、わたしに価値を見出してくれるかだった。それは最上の結果で示された。
彼は、これからクラスを引っ張っていく男の子だ。当然、わたしが彼を射止めても、誘惑をしてくる女子はひっきりなしに現れる。そしてわたしは、彼を自分一人に縛り付けようとは思っていない。それは重荷になるし、
彼はこれから多くの女の子と寝る。間違いなくそうなる。でも、少なくとも今日、わたしは彼に、人生で一番大きなインパクトを与えることができたと思う。
実は、彼と深く繋がったことで、なんとなく、彼の気持ちとか考えとか、そういうのが感じ取れたような気がした。こうされるとヤバいとか、今それはマズいとか、彼の身体がそれを発していて、多分、わたしはほんの少し、それを読み取ることができた。
試しに、キスをせがんで舌を絡めて、膣をキュッと締め付けたら「ぅあぁっ」と言って彼はイッてしまった。わたしは口角が上がらないように注意して、でも彼が可愛くてしかたがなくて……。
もう一度、今度は彼の胸の突起を刺激して、腰に回した足で彼のものを奥まで押し込んで……。また彼はイッてしまった。
わたしはもうゾクゾクして、楽しくて、可愛くて仕方なくて、顔を見られないように無理やり彼の唇を奪って、泣きそうな彼を「よしよし」と慰めてあげた。
身体の相性はとてもいい。抜群にいい。こんなことができるのは彼だからだ。他の男の子相手では、絶対にこうはいかない。
もう彼は、わたし無しではダメだという予感があった。
もちろん油断は禁物だ。わたし自身、彼にふさわしい女であり続けなくてはならない。
でも彼は今日のセックスをきっと忘れない。何度も何度も精を吐き出されたわたしの身体を二度と忘れないだろう。
もし、他の女と寝ても、わたしと比べて必ず戻ってくる。そしたら、また、たくさん彼を気持ちよくしてあげればいいのだ。
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さっきまで、あれだけ荒々しかった彼のペニスが子どものようにしぼんでしまっている。わたしが彼の欲望のすべてを吐き出させたのだ。わたしの胎が彼の全てを受けとめた。
その事実がなによりも嬉しい。顔のニヤニヤがとまらない。わたしは今、人生で一番はしたない顔をしている。悪い女の顔だ。
今日はつかれたはずだ。彼はぐっすり眠っている。
隣で眠る彼にたくさんキスをした。
これから何度も何度も彼と愛し合うだろう。
彼のしぼんだものを
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