第08話 パーティ
ハイド・ローレン……「狂気の科学者」と言われ幾度となく「フェルミ」の前にたちはだかった『帝国アリウム』の重鎮!
【幻想のオド】の人気ランキング1位!リスナーさんからは「ハイド先生」なんて呼ばれてた、超人気者!
ぐぬぬ……わたしのフェルミとアメリを差し置いての1位……言わばわたしのライバル!
でも、ハイド・ローレンも死んじゃうんだよね……フェルミと一緒に……身体が半分機械で出来ていて……ってあれ?
まだ、機械じゃないんだ……。
ベヒーモスの剛腕を受け止めるハイド・ローレンは、液体金属を自在に操り、さまざまな形へと変化させる。ときには盾に、ときには剣に、そしてときにはパワードスーツにと変幻自在だ!
形勢は互角!
だけど、徐々に押され始めるハイド・ローレン……たぶん、パワードスーツの出力が落ちているんだ!あれのエネルギーは魔石だ。
きっと、ベヒーモスが強すぎて散らばった魔石を拾う隙が無いんだと思う!
だったらわたしが!
「ハイド・ローレン、下がって!……アクテラ〜!」
激しい水流をベヒーモスの頭上に落とす!
ベヒーモスは凄まじい咆哮で頭上のアクテラを粉砕する!その隙に!
「当千威圧!」
ブゥンッ!とベヒーモスの動きが鈍くなる!
効いてる!当千威圧でベヒーモスのステータスが下がっているんだ!
ハイド・ローレンがベヒーモスと距離を取ったのを確認して、雷光Lv3を発動する!
「いけぇ〜!
水の上位魔法アクテラによって、ベヒーモスに降り注いだ水分はわたしの狙い通り!
「これがわたしの単体最高火力だぁ〜!」
バリバリッ!ズドンッ!と落雷がベヒーモスに直撃!デバフ効果とアクテラ効果で何倍にも増す威力は爆風を生みわたしの軽い身体を吹き飛ばす!
もの凄い勢いで吹き飛ばされたわたしの身体は、ダンジョンの壁に激突…………せずに受け止められた!
「――う……あ……ありがとう……ございます……」
わたしの小さな身体はハイド・ローレンの腕の中……助けてくれたみたい……。あぁ、スキルと魔法の乱発で頭がぼぉ〜とする。でも、ベヒーモスはあれくらいじゃまだ倒せていないと思う……だから……
「これ……使って下さい」
インベントリから大量の魔石をハイド・ローレンに渡す。
「ふん……褒めてやろう、貧乳娘。あとは任せろ」
フワッと優しく包まれるような温かさを感じる……あれ?……もしかして、何かアイテムを使ってくれたのかなぁ……身体全体を守るようにバリアみたいなのが張ってある……あぁ、頭使いすぎて眠くなっちゃった……あとは任せろって言ってたし……頭がぼぉ〜っとするし、少しだけ目を閉じていよう………………。
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う……う、うん……はっ!わたし、ダンジョン内で寝てたの!?ベヒーモスは!?ってあれ?……ダンジョンなのに暖かい。
なぜか寝袋のように暖かく包まれる身体……
身体を動かすとシュンッとわたしを覆っていたバリアのようなものが消えた。
「やっと起きたか、貧乳娘」
「ハ、ハイド・ローレン!?もしかして、わたしが起きるのを待っててくれたの……?」
「俺は今、ベヒーモスの解体をしているんだ。別にお前を待っていたわけじゃない」
「――うぇっ!ホントだ!グロい……」
ハイド・ローレンはベヒーモスの角やたてがみ、爪などを削ぎ落とし綺麗に並べている。かなり几帳面なんだね。あれ?……
「ベヒーモスは土に還って魔石にならないの?」
「コイツは封印された大魔獣だ。モンスターとは違う……封印を解いたのはお前だろうが!そんなことも知らないのか、貧乳娘」
「へぇ〜それで、ハイド・ローレンはそれを目的にダンジョンに来たの?」
「答える義理はない」
「あるよ!だって半分わたしの手柄だし」
「――なに!止めを刺したのは俺だ!」
「でも、わたしがいなかったらハイド・ローレンだって無事じゃ済まな……はっ!?……もしかして……わたし……歴史を変えちゃった?」
「……歴史?」
ハイド・ローレンはここで大怪我を負う予定だったんじゃないかな……それで身体の半分を機械に改造した……とか?
やばい……三人に怒られそう。ヘッドホン使わんどこ……。
「貧乳娘……貴様、何者だ!」
「……答える義理はないです」
「ククク、ただのバカではないようだ。貧乳娘……ベヒーモスの素材を回収しろ」
「――え?なんで?」
「お前のインベントリが便利だからだ」
「――何それ!わたし今から下の層に行くんだけど」
「だから、それを手伝ってやる。ベヒーモスの礼ということでどうだ?素材はやれんが、お前一人でこの下の層に向かうのは自殺行為だ!パーティを組めば生存確率も上がる。なんせ俺たちは伝説の大魔獣を倒したんだ……弱体化していてもヤツは大魔獣……もしかすると下の層には、もっと恐ろしい化け物がいるかもしれない」
「う〜ん……なんか丸め込まれてる感があるけど……素材を運ぶのが面倒ってだけじゃないですよねぇ?」
「それもあるが、素材をお前が持っている限り見捨てることはないぞ」
「……分かりました!お願いします!」
「ククク、いい選択だ」
グロいけどベヒーモスの素材をインベントリへ……サイズの大きい物は触れて「インベントリへ!」と言うと収納される!すごく便利だ。
すべてを回収するとドクンッと胸が鳴る!これは……!?ステータスをオープンする。
★称号『
スキル『くいしばり』……HPが0になる攻撃を受けても稀に1残ることがある
➖➖➖➖➖➖
ガウラ・ウラジール【
Lv 38
HP 1341/1341
MP 1616/1616
SP 32/32【10/10】
物理攻撃力 210
魔法攻撃力 1095(+10)
物理防御力 193(+50)
魔法防御力 529(+100)
チカラ 210
魔力 974
体力 223
精神 349(+200)
運 111
・魔法 ヒール小(消費MP 増加)
ヒール中(消費MP増加)
・魔法 アクア
アクテラ
・スキル 雷光Lv1 雷光 Lv2 雷光Lv3
『ゼロ距離雷光』『放電』『渦雷』
・スキル『当千威圧』
・スキル『くいしばり』
⚫︎【スキル 『オーバードーズ』】未解放
・固有スキル 『固有インベントリ』 LV3
・固有スキル 『雷光セイバー』
⚫︎【固有スキル 『
⚪︎【ユニークスキル 『ヘッドホン』】解放済み
★称号『一騎当千』
★称号『ゴブリンスレイヤー』
★称号『
(精神+200付与)
※ () 内は装備補正
【】内は本人にしか視認出来ない
➖➖➖➖➖➖
めっちゃレベルが上がったぁ!しかも『不撓不屈』に『くいしばり』って!なんかいっぱいもらっちゃったし!へへへ、ステータス爆上がり〜!
そっか……素材を入手したからわたしもベヒーモスを倒した判定になったのかなぁ……。う〜ん、よくわかんないけどラッキー!
「ニヤニヤするな、気色悪い。さっさと行くぞ」
「気色悪いって……狂気の科学者のくせに、自分のこと棚に上げてるなぁ」
「――天才科学者だ!この貧乳娘!」
「あぁ〜!もういい加減名前で呼んでくださいぃ〜!わたしたちパーティになったんですからぁ〜!」
「貴様、名乗ってもいないだろうが!」
「あれ?そうでしたっけぇ……」
「バカの相手するとバカになりそうだ……」
「バカバカって言うほうがバカだって誰か言ってた」
「そういう答えが出てくる時点でバカだ、貧乳娘!」
「――わたしはガウ……じゃなくて『ウラウラのウラン』です!ほら、ちゃんと名前で呼んでください!」
「ウラウラのウラン?……ふんっ!変な名前だから貧乳娘でいい」
「――変な名前とは失礼ですね〜!狂気の科学者ハイド・ローレンさん!……ちゃんと呼んでくださいよ〜『ウランちゃん』って!」
「……遠慮しておく。あと俺のことはローレン先生だ。分かったか、貧乳娘」
「ふ〜ん……ハイドさんが『ウランちゃん』って呼んでくれたらそう呼びますよ」
「貴様ぁ〜……」
そうして、わたしたちは11層へと向かった。
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