第15話
「僕は23年生きていてこんな嬉しい事はなかった!あの矢野一色が僕を優秀だって言ってくれたんだよ」
真来はもう感涙にむせんでいる。
「良かったねえ、真来ちゃん」
絵里は真来の背中を優しく撫でた。
「僕はあの人の為なら何でもする!」
「うんうん分かる。マネージャー冥利に尽きるよね」
駅前の屋台のおでん屋に2人はいた。
絵里は真来の肩を優しく抱いた。
「良かったね。真来ちゃん」
真来はそれから更に矢野の言葉に注意深くなった。
矢野が望んでいる事は何か。
矢野を喜ばせるにはどうしたらいいか。
真来の頭の中は矢野の事で一杯だった。
まるで恋しているみたいだ。
真来のケータイにはしょっちゅう仕事の依頼の電話が入って来る。
真来はスケジュールだけは必ずダブルチェックをしている。新人の時にダブルブッキングをして迷惑を掛けた事があったからだ。
「もっとオフが取れればいいんだけどな…… 」
矢野の今月のオフは3日である。
せめて後1日何とかならないかな……
そう思いスケジュールをチェックするも何処も一杯で全く動かせない。
真来はチーフマネージャーの船木に相談した。
「それは矢野さんの意向か?」
「僕の考えです。せめてもう一日何とかオフが取れないでしょうか?」
「矢野さんは来た仕事は全て受ける主義だ。バラエティを除いてな」
船木もタブレットをチェックして首を振った。
「無理だな。何処にも動かす余地はない。来年は大河があるし、新しい映画の主演も決まっている。矢野さんも分かっている。だからお前は気にせず矢野さんについていればいい」
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