第2話
「しかし、何であの矢野一色のマネージャーを真来がやるわけ?」
駅の近くの居酒屋である。
同期の沢田絵里と一緒だった。
「こっちが訊きたい」
真来は死刑宣告を受けた時のような顔で絵里を見ている。
「矢野さんが指名したって聞いたけど、何で真来なんだろうね。十中八九鈴丘さんに決まっていたみたいよ」
絵里がビールジョッキ片手に言った。
「マネージャー歴15年の?鈴丘さんに?」
「そりゃそうでしょう?あの矢野一色のマネージャーよ。其処らの新人に出来るわけないでしょう?とみんな考えていたんだけどね」
「絵里、僕マネージャー辞めたくないよ。矢野さんってめちゃ怖いっていうしさあ…… 」
真来は完全に沈んでいる。
「まあまあ、頑張るしかないでしょ。こうなったら。愚痴なら私が聞いてあげるから」
絵里は真来の背中を優しく撫でた。
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