思春期のおれおれ式シュプレヒコール

狐木花ナイリ

思春期のおれおれ式シュプレヒコール

秋空を赤いと語る君の目を否定して飲む薬の半分


濡れた床 ドライアイスを下敷きで舌に拾って深い息吐く


美術家が青で描いたこの空に青を重ねたおれの世界は


「退屈だ」不純な動機で駅前のシュプレヒコールに混ざって呟く


剥啄の意味を知るゆえおれたちは白い碁石をオセロの一つに


アパートも田舎者には大東京 積まれた畳は座れる千枚田 知らんが


お正月 毎年集まる曾孫さえ少女が売り出す春に近づく


紺の肩 水に艷めく三原色 砂浜で見たクリスマスネオン


頭から狐の尻尾を被ってるアルビノ少女にブリーチ教わって


地を滑る蛇の腹から赤もみじ 当然土足で踏みこむ舞踏会


先輩が魅せるお酒とおんなじの黒歴史には若さ費やす 死ね


源氏名の意味を知るなり言の葉と倫理と男とカーテンに触れる


森林に群生しているヒトリシズカもいで捨て去るベン図の外へ


丸まった氷が母の眉滑るショットグラスにやまいかぜが吹く


砕け散り潰れて濡れるカタツムリ 前の車が太陽教えた

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思春期のおれおれ式シュプレヒコール 狐木花ナイリ @turbo-foxing

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