宇宙空間にたどり着いた博士は、

始めに、『ダークエネルギー観測機』と『ダークマター観測機』を起動、

次に、『ダークエネルギー制御装置』と『ダークマター制御装置』を起動し、

すべて問題がないことを確認した。

最後に、『タイムマシンアクセラレーター』と『タイムマシンバリアー』を起動し、

ついに、『タイムマシン』が発進した。


『タイムマシン』が加速していく。

あぁ、『タイムトラベル』ができる。

わずか、半月程度ではあるが、充実したすばらしい時間。

未知に挑み、それを解き明かすことの心地よさ。


今までの人生を思い出す。

新しいエネルギ-や、いくつもの新素材の発見に、その利用方法の開発。

未知のウイルスや、そのワクチン、難病の治療薬の開発。

荒れ果てた土地の再生を行い、水・食糧問題の解決。

何一つ、解決できなかった宗教問題。


そして、『タイムマシン』の開発。


博士は、しばし感傷に浸ったが、すぐに、次のことを考えた。

未来は、どのような世界だろうか?

未来では、何をしようか?

いくら考えても、興味が尽きることはなく、博士はそれを楽しんだ。


やがて、ブザーが鳴った。

『タイムマシンアクセラレーター』により、十分に加速し、

『タイムマシン』が、光の速さを越えたのだ。

さらに加速し、『時間の壁』を越えれば『タイムトラベル』ができる。


その時、博士に疑問が浮かんだ。


そう、『時間の壁』だ、いや、それ以前に『時間』とはなにか?

今まで、博士はそれらについて、考えることはしてこなかった。

なぜなら、『時間の壁』を越えることは、『タイムトラベル』の手段に過ぎなかったからだ。


『時間』とはなにか?

この疑問に、博士は瞬く間に答えを導き出してしまった。

『宇宙』が誕生する前は、なにも存在しない、『無』の状態だ。

そう、『時間』さえも。


ではなぜ『宇宙』が誕生したのか?

超高圧縮された超高濃度エネルギー、これを『超時空エネルギー』と名付ける。

この、『超時空エネルギー』が何らかの理由で他の次元から溢れ、爆発し『無』を吹き飛ばした。

『ビッグバン』である。


そして、『宇宙』が誕生し、『超時空エネルギー』は、溢れ出てきた『次元の穴』との抵抗により、

莫大なエネルギーを消費し、質量のない不可逆エネルギー『時間』に変化した。


『宇宙』とは、『超時空エネルギー』が『次元の壁』に穴をあけた爆発により、

膨張した『空間』であり、

『時間』という、質量のない不可逆エネルギーの流れに満ちた『力場』である。


ならば、『ダークエネルギー』は、『超時空エネルギー』と『次元の穴』との抵抗により消費された、

莫大なエネルギーの残滓であり、

『ダークマター』は、『ダークエネルギー』と『時間の力場』の抵抗で生まれたエネルギーとなる。


様々な疑問が解決していくが、今はどうでもいい。

これは、『時間の速さ』と『宇宙の膨張する速さ』は同じであり、

『時間の壁』とは『宇宙の壁』と言える。

また、『時間の壁』を越えることは、『宇宙の壁』を越えることであり、

『時間の壁』を破ることは、『宇宙の壁』を破ることとなる。

結果、何が起こるか?


こうして、博士は『時間の壁』を突き破り、宇宙を壊し、

どこかの『次元の壁』を破壊し、『ビッグバン』を引き起こした。


斯くして、新しい『宇宙』が生まれた。

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博士の衝動 万年ニュートラル @neet003

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