第12話 二日酔い

新しい朝が来た。


時間はおそらく早朝。

薄目を開けると辺りは薄暗かった。

確認は出来ないが近くにあった焚き火が消えているからか少し肌寒い。夜には意識せずにすんだ風の冷たさが感じられた。


ぼやけた眼をゆっくりと開いていく。

すると徐々に意識が覚醒していった。


目を擦ろうとするが思い通りに体は動かなかった。なんでだ?と疑問を頭に浮かべると同時に新たな刺激が頭に生じた。


それは頭部に響く鈍痛だった。


あ〜痛い。あと少し気持ち悪い。胃の辺りが重くムカムカする。


なんだよ・・・。


寝起きの痛みで苛立ちが溢れそうになったが、それが表出する前に深呼吸をして悪感情と身体的痛みの両方ともをゆっくりと抑えていった。


感情と痛みが落ち着くまで待ち我慢できる程度になり次に感じたのは体に掛かる負荷だった。


それは胸の下、特に腹の部分に感じた。

俺の仰向けの体の上に何かが乗っている。

それで重量の感じる方へと瞳を動かすとそこにはヨルガの金の髪が見えた。


そうか、こいつが乗ってるから動けないのか。試しに身動いでみるが微動だにしない。ヨルガは眠っていても力が強い。

それが確認出来ただけだった。


体は動かせないので頭を動かすことにする。

まだ完全に働いているとは言い難い脳を無理やり働かせて何があったのか俺は思い出そうと試みた。


昨日は・・・魔物を退治した後に馬の様子が少しおかしくなって、それで早めにここで野営することにしたんだったか?

それで・・・そうか。メトがヨルガに頼んで酒を。俺も結局は断れなくてこんな状況になったのか。


記憶を取り戻した俺はこの気持ち悪さと頭痛の原因を理解した。


二日酔いか。


酒は飲んでもなんとやらっての実践するのは難しいものだ。



状況はおおよそ把握できた。

この残状は自分達の自業自得。

ただの酔っ払いの終着点なだけ。

なら別段問題もない。

頭の痛みも気持ち悪さも誰かに何かをされた結果、怪我をしているとかではないのは結末として上々だといえる。


さてどうするか?

取れる手段は二つ。

待機か行動のどちらかだ。

急ぐ旅でもないので昼まで寝ていたって構わないのだが、全く動けないのは窮屈だった。


かと言ってヨルガに抱き枕代わりにされている俺は動くことはできない。


ヨルガに声をかけて起こすのが手っ取り早いのはわかっているが、万が一まだ彼女が酔っ払っていたら夜の繰り返しになることも考えられる。


起きて、酒を飲んで、飲まされて、気を失って、また目が覚める。

問題は酒が尽きないことだ。

何せ酒はヨルガの魔術によるもの。

終わりは糧食がなくなるまでなのか?

それとも無くなっても続くのか?

ヨルガの生態に詳しくない俺には答えを導くことが出来なかった。


そうだメトに起こしてもらってヨルガの腕を外してもらおう。


メトは・・・何処だ?


目だけを動かして青い髪の少女を探す。


いた。


彼女は俺から見て左側、少し離れた場所でぐーすか寝ていた。


ダメじゃん。離れ過ぎだ。


メトを起こすような大声はヨルガにも覚醒を促すだろう。それでまだ酒が抜けていなければ・・・考えたくないな。


ん〜仕方ない。

少しの窮屈には我慢して待機するか。


寝ていれば直ぐに時間は過ぎるのだがアレコレ考えてしまったからか目はだいぶ覚めてしまっていた。

こうなってしまうと二度寝も難しい。

俺はやることがなくて暇になってしまった。


近くにあるのはヨルガの頭だけ、それをぼんやりと眺めていた。


早朝は静かだ、考えることをやめるとヨルガの寝息が俺の耳に聞こえてきた。

同時にヨルガの体全体が酒臭いことに気が付いた。


女の子に抱きしめられると良い香りがする。

昔王都で働いていた時にそんな事を言っている客が居たが、宴の後はそんな事はないらしい。


いい匂いなんてのは幻想だ。


辺りはいい匂いどころか自然の香りも全くしない。充満しているのは酒と酒と酒の匂いだ。


あ〜酒臭い。周辺に漂う匂いだけでまた酔いそうだった。




「んむぅぅらぅあぁぁぁん、てぃんぱぃ」


俺が目覚めてから少し明るくなるくらいの時間が経過した頃、ヨルガは頻繁に言葉にならない声を上げるようになったりし出した。

ついさっきまでは寝息をたてるだけだったのが、声のようなものを口から出し始めてからは身動ぎも増えた。


そろそろ起きるだろうか?


身動きが出来ない俺にとってそれは光明であったが一つ困った事が起きていた。


それはヨルガがほんの少し動く度に俺の服と衣擦れを起こして上半身のボタンがとれて脱げ、上半身が微妙にはだけてしまっていることだ。


しかもなぜかは知らないが、その肌の部分に温かみでも感じたヨルガは俺の服がはだけた部分の生肌で暖をとるように自分の顔を押し当てていた。


温もりが恋しいのか?

ヨルガが酔った時の力による恐怖と酒の臭さがなければ変な気持ちになったかもしれない。


俺の中にもいる邪な獣が暴走する前になんとかしなければ。


ヨルガがくっ付いてる今の場所は胸の辺りだ。既にヨルガの頭は腹からかなり上ってきていた。


「すぅ〜〜ふぅ〜すぅ〜〜ふぅ〜」


胸の部分に当たる鼻や唇などから漏れる呼吸がかなりこそばゆい。


手が動けば止めるのだが動けないのではどうしようもない。

もう起こした方が早いとも考えた。

だがこの状態はかなり不味い。

ここで起きられると誤解が生じる可能性がある。どうにか一旦離れてからヨルガを起こさなければならない。


「ちょっ!服の中に手を入れるなっ」

思わず声が出た。


色々と考えていたが、あまり悠長にしていられる時間はないようだ。


ヨルガは起きてるのか?と見紛うほど見事に寝たまま俺を片手でホールドし、余ったもう一方の手をボタンが取れはだけた部分から中に入れて、肌を触り始めた。


「やめろって」


これは駄目だ。今メトが起きようがヨルガが起きようが絶対に誤解されて酷いことになる。


どうする?


ーーー二人以外の誰か。そうだ御者に助けて貰えば・・・?


御者を探す。

俺達よりも早く寝ていた彼ならもう起きていてもおかしくない。

そうしてあるものについて考えが至った。


ああ、そうか。

氷の壁か。


俺達三人よりも早く寝て、酒も飲んでいない御者の姿が今もなお全く見えないのはまだ目覚めてないせいではなく。メトが昨日作った氷壁の中にまだ囚われているからではないのか?


そんな事を頭が勝手に予測した。


もしかしたら出られないのかもしれない。

もしくは出るのが危険だと判断しているのかも。ならば彼が助けに来ることはない。


その間もどんどん服は脱がされ寝惚けたヨルガは俺の体を弄っていた。


こんなところを見られるわけにはいかないと思ったが、状況がこれ以上悪化する前に覚悟を決めた方が良さそうだ。


もうヨルガかメトのどちらかを、いっそのことどちらも起こすしかないか。


よし。


一言で目が覚めるように言葉を選んで俺は大声で叫んだ。


「敵だ二人とも!!起きろ!!」


俺の嘘の言葉に反応したのはヨルガ。


そもそももう起きる寸前だったのだろう。

彼女は一瞬で覚醒して飛び起き、剣を持たずに構えた。


「どこだ!」


そして俺に問うてくるが、俺は答えられなかった。


ヨルガは俺を抱きしめたままその事を考慮せずに一気に覚醒し飛び起きた。彼女が起きたのは俺にとって計算内で服が乱れているのも誤魔化せそうで問題にはならなかった。


しかし一つ問題だったのはヨルガが起きた時の衝撃で俺の腕の辺りから妙な音が聞こえたことだ。


ピキッ


その音は頭に奇妙なくらい響いた。


「痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ」


ヨルガの問いに俺は絶叫で答える。


メトはその大声で呑気にふわぁっと言いながら目を覚ました。




二人が起きた後、メトが全ての氷を消して野営地の後始末をしてから馬車は出発した。

御者は無事だった。


「本当に済まなかった。私にして欲しいことを言ってくれ、なんでもする」


馬車に揺られながらヨルガは俺に平謝りしていた。


「ヨルガは謝る事ないわよ。こいつだって悪いんだから。変な起こし方したから自業自得よ。アンタが逆に謝りなさい」

「なんでだよっ」


メトは俺に簡易的な治療を施しながら、ヨルガを慰め俺を注意してきた。


そう。俺はあんな起こ方をした理由について何も話さなかった。

だって言えないだろ?

ヨルガが俺の体を弄ってたから起こしました、なんて。

だから俺は悪戯をした結果、怪我をしたという嘘をでっち上げたのだった。

二人ともそれを疑う事はなかった。



「メトの意見に同意したわけじゃないが別に気にしなくていい。今は金があるから街につけば治るし」

「そうか?」

心配そうな顔でヨルガはこちらを見てくる。


「ああ、このくらいなら何ともない」

俺は安心させるように頷き返した。


「アンタも少しは殊勝なことも言うのね」

「見直したか?」

「まぁ、唾でも付けとけば治るような大した事ない怪我よ。こんなの」

「流石に治らねぇよ」


怪我の状況はそれ程酷くはなかった。

ただ骨が折れているだけだ。

腕の外に骨が飛び出てるわけでもないしな。


なんて嘘だよ。めちゃくちゃ痛いわっ。


患部は赤くなり腫れてしまっているのが外からでも見て取れる。だからメトの魔術で腕を冷やしてもらい応急手当を施していた。

あぁ、なんで朝っぱらからこんなことに、


「このぐらい?」

「たぶん?」

「冷やし過ぎると良くないわよ」

「じゃあもうちょっと弱く」

「我儘ね」


後は添え木で腕を固定して布でその腕を吊れば完了だ。

添え木は真っ直ぐな木をそこらで拾ったもので布は着替える為の服を裂いたもの使って二人に手伝って貰いながら腕を吊った。


この二つはヨルガが用意してくれた。

対処が早かったのは兵士時代に学んだからだろう。

こうしてそんなに時間もかけずに現在可能な治療の全ては終わったのだった。


「回復魔術を使えるやつがここにいれば完璧だったんだけどな」

「そんな都合良くいくわけないでしょ。アンタはそんなに運が良くないの、今までの人生思い返してみなさいよ」

「おっしゃる通り」


そんな幸運に恵まれていたらそもそも路上生活なんてしてなかっただろうしな。


「俺は受けたことないんだけどヨルガは回復魔術とか受けたことあるのか?」

一番怪我をしそうな兵士という職業に就いていたヨルガに質問してみた。

魔術による治療について俺は耳にした事はあるが自分で受けたことも誰かが受けた所も実際には見たことはない。

問うたのは街に着いたら自分が受ける治療について経験者に聞いて知っておきたいという気持ちからだった。


「兵士の中には回復魔術を使える者も居たから受けたことはあるぞ。回復魔術にも色々あって直ぐ治るものや何日時間をかけて治すもの人それぞれだ。勿論魔術行使者の実力が高い方が速さも質も良いのは言うまでもない。だが回復魔術といえば教会の専売特許だろう。なぁメト」


ヨルガはメトに話を振った。


「そうね。怪我人も病人もこの世界から居なくなることはないから、高い治癒術を使える魔術師が居たら教会から声をかけられるでしょうね」


奇跡を扱う教会にとって回復魔術は身近な奇跡の一つと言ったところだろうか?

信徒を増やすのにも都合が良さそうだしな。

武装修道女とメトが言っていたので回復魔術は管轄が違うかと思ってヨルガに聞いたのだが教会の話も聞けるのならば有難い。


「じゃあ俺は街に着いたら教会を訪ねれば良いのか?」

「そこに必ず回復魔術を扱える人がいるかどうかはわからないけどそれが手っ取り早いんじゃない?大きな街ならたぶん常駐してると思うわよ」

「治療代はおいくらぐらいで?これで足りるのか?」


俺は貨幣の入った小袋を取り出してメトに放り投げる。

「そのぐらいの怪我なら大丈夫よ。十分」

中身を確認したメトは小袋を投げ返してきた。


王様から金を貰えてよかった。

荷物も馬車も御者も用意してもらったので旅で金を使う機会は宿を借りたりするぐらいであまりないかもしれないと思ったが、早々に治療代を払わなくちゃいけない事態になることは想定してなかった。


「お金はあるんだし教会にたっぷりお布施でもして治して貰えばいいわ」

「そうか、それなら安心だな」


使えない腕を見ながら俺は次の街に着いたら真っ先に教会を訪ねることにしよう。と予定を立てた。




回復魔術の話題が出たので以前から一度機会があれば教会に所属している人間に話を聞きたかった俺はメトに直接聞いてみることにした。


「なぁメト。教会にいる最高の魔導師なら死人も生き返らせるってのは本当か?」


王都に居た時には回復魔術の噂はありとあらゆる場所で色々と耳にした。


その中には例えば切られた腕や脚が生えてきただの、寄生した魔物を殺す為に全身を焼いてから魔術をかけて火傷一つなく生還しただの。戦場で自らに回復魔術をかけながら戦い、剣で切られ槍に貫かれそれでも死ぬことなく三日三晩戦い続けた魔法師がいただの。

挙句の果てには死人も生き返らせれる魔導師が教会にはいるらしい、なんて眉唾な話を話好きな連中が口にしていた。


俺はこれらの話を事実なのだろうか?と常々疑問に思っていた。


「私は見た事ないけど、本当みたいよ。色々と条件はあるみたいだけど」


俺の疑いを晴らすかのようにメトは淡々と答えた。そこに嘘を言っている様子はなかった。こいつも騙されている可能性はあるのだろうが。


メトが信じているからといってそれが即事実になるわけではない、だがそれが真実ならば一番ありえない死人が蘇るという話が本当ということになる。ならば噂話も全て真実の可能性があるわけだ。


「それは凄いというか怖いというか」


俺は死人が蘇るという話を聞いて凄いという感情と共に何か得体の知れない恐怖を抱いていた。


「でもお高いんでしょう?」


こんな巫山戯た言い方をしたのはその恐れを少しでも晴らす為だったのかもしれない。


「もちろん無料ではないでしょうけど・・・」

やっぱり大金がないと助けて貰えないのだろう。どの世界でも世知辛いものだ。

奇跡は誰の前にでも落ちてくるものではないらしい。世の中結局金か、そんな安易な考えで俺はこの話を終着させようとしたがその予想は次のメトの言葉により否定される。


「お金で解決出来るような話ではないみたいよ。特別な奇跡は特別な者に与えられるって話だから」

「特別な者?」

「もしかしたらアンタは候補かもね。だってそんなでも英雄様なんだし」

メトの言い様からは俺を英雄だとはほんの少しも思っていないことが伝わってきた。


「候補な」

もしかしたら俺は死んでも生き返されるのだろうか?

そこに俺の意思はなく強制的に。

それは少し気味の悪い話だった。


「なんて冗談よ。アンタなんて生き返らせてどうするのよ。何の役にも立たないに」

「五月蝿いわっ」


俺の表情を読んでなのかメトが努めて明るく言い、それで空気が若干弛緩した。


「どちらにしろ今の私達には関係ないだろう。知り合いに生き返らせたい者がいるわけでもあるまい」

ヨルガは付け加えて話をそう纏める。

「そうだな」

確かにヨルガの言う通りである。

起きてもいない事に恐怖しても仕方ない。


俺はほんの少しだけ話題を変えてメトに尋ねる。


「信徒になれば治療費は安くなるのか」

「多少は、あとお金じゃなくて奉仕で支払えるようになるわ」

「入信特典ってやつか」

「その言い方どうにかならない?」

「だってその通りだろ?」

「まぁ、そう言われればそうだけどね。でも怪我を治して人生を立て直して貰ったら大抵の人が言われるまでもなく教会に入信するから関係ないんだけど」

「どちらにしても信徒になるからと?」

「そういうこと、アンタの言い方をするならそっちの方が安いから入信した方がお得でしょ?」

「そりゃそうだ」


そもそもミルド教は王国の国教だ。

俺はミルドという神については信じてはいない。だが正真正銘の孤児院育ちであるので距離は近かった。

祈りもするし教えも知ってる。

教会は良いものだと思っている。

だから特に叛意はない、そう考えれば俺も信徒だと言えるかもしれない。

まぁ、モックスの鐘で弾かれたからどちらにしても入信は無理なんだけどな。


「治療費が安くなるなら俺も入信したいんだけど、神ってどうやって信じればいいの?」

「どうやってってそんなの分からないわよ。アンタが不信心な理由を私は知らないもの」

「何で神を信じないのか?ね、う〜んなんでだろう?見たことないからか?」


難しい話だ、見たことも話したこともないモノを信じろというのは。

路上で生活していたの時に祈って腹が膨れれでもしていたら信じていただろうに。

そんな奇跡は起きなかったからな。


「逆にメトは何で信じられるんだ?」

「私は物心がついた時には信じてたからわからないわ」

「ヨルガは?」

「私も同じようなものだな」

「参考にならないな」


役に立たない信徒共め。

なんとか俺を導いてくれよ。


「なら治療を受ける時だけでも信徒になりたいんだけど、モックスの鐘を騙す方法はないのか?」

「そんな事出来るわけないでしょ」

「マオ、そういうところだと思うぞ」

「メトは修道女だろ?ほら、ここに導かれたい奴がいるんだ。何とか神を信じさせてくれよ」

「それは私の仕事じゃないもの、だから嫌よ」


こいつは勧誘に熱心な信徒ではないようだ。


「それにしてもアンタは孤児院育ちなのに神を信じていないのは珍しいわね」

「十二歳で追い出されなきゃ信じられたかもな」

多分一回追い出された後に住む場所くれたら信徒になれてた。

余裕で。

「打算まみれね」

信じるものは救われるなんて言うが、俺の場合は救われたら信じる方針である。

「現実的と言ってくれ」

「で信じ方は見つけられた?」

全くである。今のところ可能性はゼロだな。

こいつらの話では参考にならない。

リズベルにいる信徒に話を聞いてまた努力してみよう。

「とりあえずは検討中ということで頼む」

「入信ってそういうものではないと思うけど、まぁいいわ」

「街に着いたら教会まで案内は頼むと思う」

「はいはい」

「街に着いてこの怪我が治るまでは二人には迷惑をかけるかもしれないが許してくれ」

「私を頼ってくれていいぞ」

「街につくまでは辛抱してあげる」


負傷者を乗せて馬車は進む。

街へ着いたら教会に行こう。

偶には神に会いに行くのもいいかもしれない。信じるものは救われるらしい。

今回の事に救いがあるとしたら、そもそも役に立たない俺がもっと役に立たない怪我人になったとしても何も問題がないことだった。


俺は馬車で揺られながら少しは役に立てる人間になろうと思った。

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