第6話 再会(1)
祖父が死んだ後のことは、ぼんやりとしか覚えていない。
あの後、集まっていた祖父の息子、娘、孫、使用人、祖父のことを慕っているという関係者たちが
その瞬間までは覚えている。
あとはいつの間にか風呂に入り、いつの間にか布団に入り、寝付いてしまっていた。
気づけば、今、僕は日光が
僕は焦点の合わない瞳で、広大な庭園を見続ける。
僕の背後、巨大な和室の宴会場では、大人たちが酒を飲み交わし、楽しそうにわいわいとはしゃいでいた。子供がドタバタと走り回る足音も聞こえる。
そうか。お
僕はそれを知る。頭の中を、祖父の前で
背の向こうを振り返ると、大人たちが顔を赤らめながら瓶ビールを振り上げ、豪快に笑うその奥に、仏壇があった。三年前まではお
僕は再び庭園の方に、何の意味もなく視線を移した。紅色の鯉がゆらゆらと泳いでいる。
僕はグイッとコーラを
「カイお兄ちゃん」
不意に背後から子供の声が聞こえた。僕は振り返ると、そこに立っていたのは男の子。手には何やらテキストを握っている。
こんな子親族にいただろうか。見覚えの無い子だった。まあ、人数の多い、この一族では不思議じゃ無いことではあるのだが。
「どうしたの?」
「あの・・・カイお兄ちゃん、大学受かったんでしょ?それも、ものすごく頭のいい大学。だから、その・・・」
少年がもじもじする。が、勇気を振り絞ったのか言葉を発した。
「僕に勉強を教えてくれない?僕、今年中学受験でさ・・・」
僕は少年の言葉で、その腕に抱き抱えたテキストを見る。デカデカと『中学受験対策』と書かれていた。
僕は思わず、
「ごめんな。悪いけど今、そんな気分じゃ無いんだ」
瞬間、少年がプクッと頬を
「ケチ!いいじゃん、勉強くらい教えてくれたって!」
少年は顔を赤くさせて怒った。次いで僕の腕にまとわりついた。
「いいじゃん!教えて!」と駄々をこねる。
僕は少年の
「サトシくん、お兄ちゃんはね。今、疲れてるの。だから、勉強はあとで見てもらおうね」
背後から聞き覚えのある声が
女性は少年の頭を撫で、「わかった」と言った彼が座敷に戻っていくのを見送った後、僕の隣に腰掛けた。
僕は一連の彼女の動作から目が離せなかった。
「
僕が恐る恐る、そう声をかけた時、女性、
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