14.


「え?」


 突然、聞こえた声に絵梨佳が顔を上げる。


「……やっと、見つけた……」


「マ……サ……」


 息を切らしながら政明が絵梨佳の前に立ち、そう言葉を綴る。絵梨佳は驚いた顔のままその場で固まっている。


「絵梨佳……」


 政明がそう言って絵梨佳を抱き締めた。



「「あいつは……!」」


 紅蓮たちが見張っている女性に一人の男が声を掛けたのをみて、声を上げる。


「……おい」


「「!!」」


 急に紅蓮と槙の後ろから声が聞こえて二人が振り返る。そこにいたのは、本山と杉原だった。


「……お前さんたちもここにいたんだな」


 本山が言う。


「ということは、あの女は絵梨佳で間違いなさそうだな……」


 槙がそう言葉を綴る。


「とりあえず、透たちにも連絡だ」


 紅蓮がそう言ってスマートフォンを取り出し、透に電話を掛けた。




「……こっちを左だ!」


 透を先頭に奏と徳二も走る。電話は紅蓮からだった。例の男と、絵梨佳を見つけたという知らせが入り、その場所に向かう。


「例の……男というのは……?」


 徳二が息を切らしながら問う。


「絵梨佳と一緒に写真に写っていた男のことだ。恐らく、麻薬の事も知っている……」


 透が走りながらそう説明する。


「なんだか、嫌な予感がします……。急ぎましょう!」


 奏の言葉にその場所に急いで駆けていった。




「……命を狙われている?どういうこと?」


 政明の言葉に絵梨佳が頭にはてなマークを浮かべる。


「……詳しい説明は後でする。とにかく遠くに逃げよう」


 そう言って政明が絵梨佳の手を取る。絵梨佳は何のことだか分からなくて戸惑う。


 その時だった。



「それが例の女か?」



 突然声が聞こえて、政明が振り返る。そこには、手下を数人連れた新形が佇んでいた。




「……誰だ?あいつら……?」


 やってきた男たちに槙が声を出す。


「あいつら……何処かで……」


 本山がそう言葉を綴り、誰だったかを思い出そうとする。


「雰囲気からして、一般人ではなさそうですね……」


 男たちを見て杉原がそう言葉を綴る。




「女……、お前には死んで貰うぞ……」


 新形がそう言って、銃口を絵梨佳に向けた。


 そして……、



 ――――パァァァン!!!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る