第4話 遺跡への招待
探査艇が遺跡の入り口に差し掛かると、周囲の光が徐々に強まっていった。柱や壁の表面には複雑な模様が刻まれ、そのラインを青緑の光が流れるように動いている。
「模様が動いている……。まるで遺跡全体が生きているみたいだ。」
アヤが窓越しに呟く。その声に村上が反応する。
「これ、ただの装飾じゃない。内部で何かが動いている可能性があります。」
探査艇が遺跡の内部へと進むと、広大な空間が広がった。無数の柱が天井まで立ち並び、奥にそびえる塔のような構造物が見えた。
「中央の塔が……この遺跡の中心部か?」
高橋が短く言葉を漏らす。その塔は、周囲の構造物と比べても異質だった。表面に刻まれた模様はより細密で、その輝きが遺跡全体の光と音を支配しているように見えた。
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天井近くで静かに漂うカイが、探査艇の動きを見下ろしていた。彼の目には、遺跡と探査艇の光が奇妙な調和を見せているように映っていた。
「この遺跡が……彼らを受け入れている?」
カイの声は自分自身への問いのようだった。
「だが、遺跡が受け入れることと、彼らが正しいことをすることは別だ。」
隣を泳ぐセイラが低い音を響かせる。それは「見守るしかない」という意味を含んでいた。
「遺跡の意思を信じよ。」
その音にカイは黙って頷いた。だが、その目にはまだ迷いが残っていた。
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探査艇が塔のふもとに近づくと、青緑の光がさらに強まり、その輝きが探査艇を包み込むように広がった。内部から低く深い音が響き、船体全体に振動が伝わってくる。
「これ……塔の中に何かがある!」
アヤが窓の向こうを見つめながら声を上げた。塔の上部から光が脈動し、そのリズムが遺跡全体に広がっている。
「中枢部分が動いている可能性が高いな。」
村上がモニターを見つめながら答えた。
「記録を続けろ。この塔が何を伝えようとしているのかを解明する。」
篠原教授の指示に従い、探査艇は慎重に塔の入り口へと近づいていった。輝く光に導かれるように、探査艇はゆっくりと塔の内部へと吸い込まれていった。
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