第七章 クリスマスパーティーと恋の行方
その40
年末に向けて客足が伸びてきた。お店は上手く回り始め、ネットでのレビューも増え続けている。僕らの活動が徐々に実を結びつつあった。西恋寺さんはますますお店の看板娘に育っていた。先日も海外の人と一緒に写真を撮って、インスタに公開していた。アットホームなお店ですと、投稿文に書かれている。僕はほとんどインスタを見ない男子だけど、どうやったら上手に運用ができるのかを尋ねてみたところ、たくさんコミュニケーションを取ればいいんだよ、と僕にとってハードルの高すぎる回答をもらった。
とんかつあぁやのアカウントで公開されているのはプロ級の写真でもなければ、キラキラした雰囲気の映えを狙った写真でもない。リールという短い動画を定期的に投稿して、お店の雰囲気を素直に伝えているのが主な取り組みだ。内装を変えましたとか、日替わりメニューはこれですとか。於史さんが調理している様子も映っている。僕がパソコンと睨めっこしている動画もいつの間にか使われていた。もはやプライベートなどはドブに捨ててきたと言わんばかりの内情全部公開していくスタイルだった。特に隠す必要もないため、それでいいやと僕も思った。そっちの方がファンに親しみをもってもらえるらしい。
そして十二月後半になり、西恋寺さんから一通の招待状がチャットで届いた。
『クリスマスパーティーへ、ご招待』
もちろん僕もイベント準備を手伝っていたため、開催すること自体は知っている。こうやって装飾の施された招待状が送られてきたので、改めて参加する旨を回答した。
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