いや、捨てろよ。
ある日、Tさんは一人暮らしをしている友人の部屋に遊びに行った。8畳ワンルームの友人の部屋はマットレス(ベッドはない)とコタツとテレビと、あとは壁際に小さな3段の本棚と、同じく3段のランドリーシェルフが並べて置いてある。
「アレどしたん?」
Tさんはランドリーシェルフを指差した。
それは3段の木製の棚のそれぞれの段に、引き出せるように持ち手のついた
Tさんが前回遊びに来た時には、こんな布は掛けられていなかった。本棚の方であれば日焼け防止に布を掛けることはあるだろうが、これは細々とした物をしまっておくための棚のはずだ。
「あーそれな」
友人は頭を搔きながら理由を話し始めた。
先日の夜のこと、友人は近所迷惑にならないようヘッドホンで音楽を聴きながら課題を片付けていた。その夜はかなり集中できたのだが、同じ体勢で何時間もいたため、自覚できるくらい体が固まってしまった。コーヒーでも入れるかとバキバキになってしまった肩をほぐすべく伸びをした時、目が合ってしまったのだという。
「ほら、その木の棚の枠と中に入れとる
確かに棚と籠の間には高さ5センチ程度の隙間がある。
「目があったんやな。横に並んだ両目。こっち見とんの、じーっと。猫ならかわいいけど、猫飼ってないもん。俺もびっくりしたわ。いつから見とんねんって話やで。でな、しばらく見つめあってたんやけど、すいっと潜ってもうた。すぐに
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