黒い小人
Mさんは幼稚園児の頃に小人を見たことがあった。夜中にふと目が覚めて枕元を見ると、身長10センチくらいの人型の何かが二体(二人?)、畳の上を行ったり来たりしていた。カーテンの隙間から入ってくる
成長したМさんは小学校で特に仲良くなった友人に子供の頃に見た黒い小人の話をしたことがあったそうだが、相手から馬鹿にされるか、呆れられるか、気味悪がられるかの反応しか返ってくることはなく、中学校に上がる頃にはМさんは誰にも黒い小人の話をしなくなっていた。
そうしてМさん自身も小人のことなど、ほとんど思い出さなくなっていた中学2年生の夏、涼みに入った本屋の雑誌コーナーでたまたま手に取ったサブカル系雑誌の読者ハガキコーナーに「子供の頃、黒い小人を見た!」と手書きの文字とイラスト付きで投稿されたハガキを見つけた。
そこに描かれていた小人のイラストと特徴は、まさに自分が見たものと一緒で、そのハガキの投稿主も就学前の、せいぜい5歳か6歳頃、夜中に小人を見つけたというのであった。
「めちゃくちゃ嬉しかったし、興奮しましたね。手持ちが無くて雑誌は買えなかったんですけど」とМさんは話した。「これで少なくともこの世界にもう一人は僕と同じものを見た人がいるってことだから。僕の話をどこかに載せるのは全然構いませんよ。でも、もし同じものを見たことがある人がこれを読んだら、ぜひ教えて欲しいって僕が言ってたっていうのも書いておいてください」
これがМさんのお話の条件だそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます