第3話 プロローグ3
「あれ? 行き止まり……ってこれ何? 何なんですか?!」
下水道を歩くこと三階層目、そう、普通は下水道が三階層にわたっているなんてことはないのだが、そこは常識を覆す
流れる水に沿って歩いた先は行き止まりとなっており、水は滝のように上へと流れていた。
「いいねぇ、レッド君の反応。ルーキーっぽさが溢れていて実に良いよ、まあ、ダンジョンの中では物理法則に反するようなことも稀によくある」
してやったりなグリーンさんの顔がうざい。といっても目出し帽で見えないが声で丸わかりだ。
「もう、これを見せるためにここまで来たんですか? いや、めっちゃ驚いたしこんな珍しい光景は見れて嬉しいですけど」
迷宮では常識で考えられないことも起こり得る。授業では習っていたが今の今まで実感がなかったのも事実だ。
「珍しいのもあるが、実際に目的地はここであってる。ダンジョンは討伐を恐れてコアを隠す。こんな風に……」
そう言うとブラウンさんは滝の奥へと足を踏み入れた。
「えぇーっ! えっ、ブラウンさんが消えた?」
滝の裏は他と同じく下水道の壁だったはずだがブラウンさんは壁にめり込むように消えた。
「くくっ、ブラウンのやつもレッドを驚かせたかったみたいじゃないか。この先がコアルームだ、少し濡れるが行くぞ」
ブラックさんに促され恐る恐る、とはいえあまり濡れたくもないので覚悟を決めて滝の裏に入ると何の抵抗もなく先へと進めた。
「……これがダンジョンコア……?」
こじんまりとした部屋の中央には台座の上に黒く輝く球体が浮かんでいた。いや、黒く輝くって何だよとツッコミたいところだが、そう表現するしかない。これも稀によくある物理法則に反する事象だろうか。
「おう、触ってみてもいいぜ。なかなか触る機会はないだろうしな。それに、ちょっとやそっとじゃびくともしないし、そもそも動かして持って帰ったりはできない。壊すつもりで攻撃しない限りはそのままだ」
ブラックさんが結構な力を込めてバンバンしているが確かに微動だにしていない。しかし、うっかり壊してしまわないか心配になる扱いだ。これ壊れちゃったら俺のバイトは失敗になるんだろうか?
「お言葉に甘えて……あれ、あー、感触はあるけどなんだろう、触ってる感じがしない? あ、温度差が感じられないのか?」
硬い水晶玉を想定して触ったら意外と柔らかいようなそうでないようなえも言われぬ触り心地だ。
「さて、戯れはそのぐらいでレッド君のお仕事の時間です。そこのバカが間違って壊したら元も子もありませんからね。念の為私達は等間隔にコアのまわりのなるべく近くに集まりますよ」
コアを壊した時に出る魔力とかでスキルを得られるんじゃないかとの考えでなるべく近くに待機するらしい。
なお、コアを壊した人はスキルは得られないがいわゆる経験値は得られているというのが通説だとのことで俺の方も同じくらいの距離から攻撃を行う。
「よし、準備オッケーだ。ガツンとやってくれ」
「では、壊します――」
コアに向かって剣を真っ直ぐに振り下ろす。基礎剣術の授業も真面目に受けている成果もあり狙い違わずコアの中心に剣は吸い込まれ……パリンという想像以上に軽い音と手応えのまま振り抜かれる。
「うおっ!」「これは……」「おっしゃぁ!」「……よし」
コアからの光の粒がブラックさん達に吸い込まれたように見えた。
―― ドクン!
一瞬、心臓が締め付けられるような息苦しさと痛みが走る。
――
1.
2.
3.
突然の天の声は強制的な
稀に上位役職に進化するとは聞いていたが役職が強制付与されるのは初耳だ。
強制付与された
そして、
こんな強烈な
―― ズキン!
目眩を伴う強烈な頭痛に思わず膝をつく。
「レッド君、大丈夫か?!」
隣のブルーさんが心配そうにかがんで顔を覗き込む。
「あー、大丈夫です。ちょっと目眩がしただけで……」
――
「……うっ」
更なる天の声と共に頭痛と忘れていた記憶、そして膨大な情報が流れ込む感覚で吐きそうになるのをなんとかこらえる。
「いや、ホントに大丈夫かい? もしかしてルーキーに大量の経験値が入りすぎた?」
「あー、そうかも知れません。なんか、頭も体もスッキリした気がしてきました」
そう、
そのスキルの一つがスキル【
なお、ダンジョンマスターが死んだ際には
スッキリした頭は、そんな
そして、一番重要な情報も思い出した。
それは、ここがマルチエンディングのノベルゲーム、『ダンマスゲーム』の世界であることだ。
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