第2話
休日がやってきた。
俺は
「
フライパン程の大皿にセルフで好きなだけ盛るスタイル。
その大皿に盛るのも、もう2桁は超えただろう。
「だってこの体、異様に甘いもの食べたくなるんだぜ」
「変なの、まるで自分の体じゃないみたい」
「え、いや、まぁ……今日の体は、って感じかな……」
「トランスフォーム的な?」
「そう、それ!」
「ロボットじゃん」
そう言う
だからこそ、つられて食べてしまう。
「私は食べても太らない体質だからいいけど、
言われて手に持ってるイチゴのショートケーキを落としそうになる。
いや、落ちたのだが、それは皿の上にだ。
現在、皿には平積みでは収まらず、山になっている。
いったいどれだけのカロリーを摂取したのかわからない。
まぁその分、体を動かせばいいだろ。大丈夫、大丈夫。
そう自分に言い聞かせる。
「
この前やったゲームの続きやろうと誘われたのはFPSもの。
普段からFPSはおろか、ゲームすらまともにやってない私が人並みにできるはずもなく、協力プレイであるがゆえに
「わざとよ、わざと。本番はこれから」
「それさっきも言ってたぞ」
私としてはゲームより、そこに置いてあるお菓子を食べたいのだけれど、
「少し休憩するか」
「そうね」
休憩の提案を受け、どこかやりきった感覚が込み上がる。
壁掛けの縁が白く丸い時計で時刻を確認する。
時刻は午後3時。2時間程、ゲームに没入していたようだ。
休憩という大義名分を得た私はさっそくテーブルのお菓子に手を伸ばす。
「にしても、その喋り方まだ続けるんだな。なにかあったん?」
「い、いや、な、な、なにもぉ〜、ないわよ」
「動揺しすぎ。動きもなんか女っぽいし、オカマにでも目覚めたん?」
「そんなのありえないわよ」
「説得力皆無」
「うっ、ぐっ!」
「あれ? お菓子がもうない」
「うっ、ぐっ!」
しまった。食べるのを我慢していたせいか、勢いで全部食べてしまった。
量としてはファミリーパック一袋ぐらいあったと思う。
「ケーキあるから、よかったら食べていってね」
狙ったかのようなタイミングで
「お構いなく」
テーブルに2皿、置く。
皿にはいちごショートケーキが1切れずつ載せられている。
すでに結構、食べたからな。
食べ過ぎては
「食べないのか?」
不思議に思った
「お腹いっぱいで……」
「まぁ、あれだけ食べればな」
「うっ、ぐっ!」
「それで話を戻すけど……なにかあったん? もしかして野球部に入らないことと関係あるのか?」
「そんなの私が聞き――」
「ん?」
「なんでもない」
結局、ケーキには手を付けず、
帰り道、公園で走ってる私がいた。
いや、厳密には私の体をした
ミニスカートを履いた私服姿で走っている。
「なにやってんのよぉ~!」
「ギャー……なんだ、
「なんだ、じゃないわよ! なにしてるのかって訊いてるの!」
「みりゃわかるだろ。走ってるんだよ」
「訊きたいのはそこじゃない! どうしてそんな格好でってギャー」
「なんだよ、うるさいな」
「お腹! ポッコリしてるじゃない!」
「そうだよ。だから走ってんだよ」
「私、言ったわよね! 食べ過ぎないでって!」
「……言ったな」
「なのにどうしてこうなるの!」
「食べたから」
「食べるな! 私なんかケーキ我慢したんだからね!」
「食べりゃよかったじゃん」
「ムキャー……って、どこに行くのよ」
「ランニングの続きやろうかと」
「ならまず、着替えなさいよ!」
「あー、確かに」
「もう!」
「じゃあ、着替えてから走るか」
「ダメ!」
「なんでだよ」
「そんな姿、知り合いに見られたくないの!」
「この腹か?」
「この腹か? じゃない! とにかく行くわよ!」
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