第6話『レッドアラート』

「反応はこの辺なんだろう?」

おれはイヤホンに話しかけた。

「はい、かなり微弱ですが」

オペレーターが答えた。ラブホテル街を歩く。日も暮れ、気温も低い。暖を求めるように足早にホテルへ人が消えていく。

路地裏に一匹の猫がいた。

茶トラの猫。

猫は歩くために足を動かしている。でも、見えないルームランナーにでも乗っているかのように前に進めない。

猫がバグってる。侵入者が近い証拠だ。

急に鳴った警報音に思わず、顔をしかめる。

「レッドアラート発令! 侵入者を感知。

キャラクター照合一致。

横川圭一。通称·舌切り。

同じ位置に微弱な禁制物の反応も感知しました」

侵入者がそのオリジナルの正体を現すと、そのキャラクターを感知することができる。

微弱な禁制物反応。

本当に持っているのか?

「よし、Sコード発令! 権限をすべてこちらに渡せ」

「S級ダイバー、403·0965。コードを確認しました。すべての権限をあなたに一任します」

オペレーターの声を聞き、おれは革コート内ポケットからサングラスを取り出し、かけた。

サングラスからの視点。明るい視界。侵入者の情報が映し出され、反応感知地点までのナビゲーションが始まった。

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