第2話『鼻が利く女』

臭い。

鼻が利き過ぎる。

このオッサン、何でこんな臭いわけ。

体臭。

それをごまかすように、似合いもしない香水やヘアクリームをSNSにだまされて使っている。

最悪の組み合わせだ。

「サクラちゃん、いつもいい匂いするね。やっぱ、いい女は匂いからして違うね」

オッサンがクンクンと鼻を鳴らしている。黒ずみタップリのいちご鼻。頼むから、顔近づけんなよ!

「香水、何使ってるの?」

「ランバン のエクラ・ドゥ・アルページュです」

わたしは満面の笑顔で答えた。ど〜せ、知らね〜だろ。

「あ〜、コロンとしたパープルのボトルだよね」

知ってんのかよ。マジ、キモいな、オッサン。

「よくご存知なんですね。スゴ〜い! 細山田さんも、いつも、スゴくいい匂いがします」

「でしょ!」

ンなわけ、ね〜だろ!

わたしは何も言わず、笑顔で答えた。

「サクラちゃん、ね、そろそろ」

「はい」

ラブホテルの一室、フロアは狭め。オッサンは上着を脱ぎ、ネクタイを緩め、リラックスしている。ソファにふんぞり返っているオッサン。ひざまずき、ズボンを脱がせた。スーパーローライズの花柄プリントビキニパンツ、すでにいきり立って、先端が濡れてシミになってる。

ヤレヤレだぜ。

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