第4話 ばっくとぅーざなんちゃら
「モアは何で過去に来たの?」
俺達はやっと本題に入った。
「う~ん。『禁書』を開いたら、魔法陣に吸い込まれて空の上に居たんだよね? そしたら落下を始めちゃってさ、そして麻衣とぶつかって、麻衣の中に入っちゃった」
禁書に魔法陣……心が
麻衣は、モアの意識にはじかれて押し出されたのか。彼女も同じことを思ったのか、必死にモアを叩いたり頭突きをするが、一向に触れない。諦めて肩を落し、モアに聞いた。
「禁書って何?」
「黒い革張りの日記帳。つまり未来の事が書いてある。それがこの時代の人に知れたら……」
「「未来が改変される!!」」
「そう!よく分かったね? 」
「先々週、タイムスリップものの映画をテレビで見たからな!」
麻衣も大きく頷く。さすが、見る物も一緒。
「僕が落下する時も禁書が傍に有ったから、学校の周辺に落ちてると思う」
「まさか、半透明の触れない禁書なのか?」
「う~ん、落下中の僕は、実体が無くて禁書に触れなかった。禁書は実体だとおもう」
「なんで、モアに実体が無くて禁書は物理なんだよ」
「知らないよ。それは禁書に聞いて!」
果たして、禁書が答えてくれるのか。いささか疑問である。モアは首を傾げ考えながら推理する。
「たぶん、その禁書がきっかけでこちらに来たから……また禁書を開けば、僕は未来に戻るんじゃないかな?」
「モアの意識が未来に帰れば、私は自分の体に戻れるって事?」
「たぶん。まぁ、ゆっくり探すよ! 平成の生活楽しみ~。でもスマホが無いのがなぁ」
モアは非常に楽観的だ。未来人、ホントに動じない。戻れなかったらどうするんだよ。麻衣も彼の悠長さに文句を言った。
「私は早く戻りたいんですけどっ」
「そ、そうだよ! おまえきっと麻衣の体であんな……」
麻衣が俺の思考を読んだのか、右ストレートを放ってきたので俺は華麗に避けた。
「変態!」
「ね~。直樹、酷いね? スッケベ~。僕そんなことしないよ? 大丈夫、トイレもお風呂も目を瞑るから。任せて」
「あら、話しが早いじゃない」
麻衣とモアは握手をする。勿論、触れないので微妙に手の位置はずれている。すると一階からお袋が俺達を呼ぶ声が聞こえた。
「二人とも! ご飯よ~」
「やった! 呼ばれたよ!? 行こう! 平成飯! たのしみ~」
「モア、お行儀よく食べるのよ? さぁ、直樹も行くわよ」
麻衣とモアは足取りも軽く一階へと降りて行った。
ぐぬぬぬぬぬ……何だ、この悔しさは。二人とも俺を置いて行くな!!
俺も二人を追い一階へと駆け下りた。
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