第5話 【幕間②】え…? 高校生の女の子を優のボディーガードにするの!?

「ホントに…勘弁してくださいよ!親父さん。俺、いったい何年このお屋敷に通ってきてると思っているんですか!?」


公園墓地で誰かと連絡を取っていた沙織が、俺と向かった先は…中華街の劉家のお屋敷…それこそ俺が高校時代に今は亡きじいさんから拝命した劉家の身内として、劉ちゃんの月命日のたびに通い続けていた…


親父さん「悪い悪い!本当にすまなかった。でも…やっと真相にたどり着いたんだね。しっかしほとんど超能力ばりの直感力を持った君にしては…えらく時間が掛かったものだね(笑)」


「そりゃ…いままで何度も直感力を請われて相談事を承っては来ましたけど、この力自体が死んじゃった劉ちゃんが裏で支えてくれてるんだと思ってたんですから…前提が違うなんて考えもつきませんって」


?「クスクス」

「こらっ!秀美ちゃんは…笑うなっ!」


な~んて、普通に話が出来るようになるには、1日が必要だった。

沙織に連れられていったお屋敷で、生きている劉ちゃんと再会した俺は…涙が止まらなくなって…そしてそれは劉ちゃんも同じ。


土曜日だったことが功を奏して…俺と沙織はお屋敷に泊めて貰うことにして、その夜俺は沙織から劉ちゃん生還に至った詳しい話を聞かせて貰ったんだ。


ちなみに優は、呆れてさっさとアパートに帰った。

優「恋愛沙汰を親父達に相談した俺がバカだった。やっぱり真面目な相談は達也さんだ!」

…失礼な…



「沙織のやつ、秀美劉ちゃんのことを分かっていたなら、早く言ってくれれは良かったのに~」


俺は席を外してくれている愛妻にちょっとだけ愚痴を…


秀美「先輩、沙織さんを責めないで!私が止めるようにお願いしていたの…あなたの口から私の話が出るまでは私が生きていて記憶が戻っていることを先輩には伝えないで…って」


「…なんで…」


秀美「…私たちの道は、一度離れたのです。お互いに伴侶も子供もいる。もしあなたが全てを心の奥底に仕舞って生きるなら…それは仕方がないことなのかと」

「…」

親父さん「まあ…今ここで白日の元に全てがさらされたのも…陳腐だけれど運命なんだろうな」


「…何をしたり顔で…そもそもあの時、秀美が死んだことを俺に電話で伝えてきたのは親父さんだったじゃないですか!」

親父さん「人聞きが悪いなあ!…死んだなんて一言も言ってないよ。私は元の秀美を失うことになってごめんよって謝っただけだよ(笑)」

「またそういう屁理屈を…盛大な告別式までやってたくせに。成井やゆうこちゃん…俺の仲間がどれだけ悲しんだか」

秀美「…ごめんなさい…」



秀美「でも…やっと先輩に、おじいさまの本当の遺言を伝えられます。『三月くんが真相にたどり着いたら、正式に劉家の舵取りを彼に任せること』 先輩…劉家の会長になって舵取りをしてください!」


「絶対やだよ」

秀美「せ…せんぱ~い、わがままです~」


「まあ待てよ。じいさまの遺言については思うことはある。…この俺の直感力が今後とも必要であるならば、これからも『参考意見』を言いに来る。今までもそうだったけど、それを正式に受け取るかはそちらのスタンスだよ」


秀美「…」


「だから…会長は秀美、君がやるべきだ…と俺の直感が言っているよ(笑)」

秀美「せ!…先輩…それは卑怯です~!」


親父さん「まあ、君にそう言われたら仕方ないな(笑)。三月くん、今の仕事はそのままで良いので、名目は劉家の副会長になって秀美を支えてほしい」

「…まあ仕方がないですね」


親父さん「うん…身内の君に対するそこが落としどころだよ。もちろん沙織さんと一緒で良いので、これからはこの家に一緒に住んでくれ」


「条件…良いですか?」

親父さん「なんだい?」


「より一層の沙織の安全を頼みます。彼女が自由に動けるようにこれからも内密に」

親父さん「当然の要求だね。最高の女性ボディーガードを用意しよう」


実は昔から俺にも、相談役兼ボディーガードが付いていたりする。今の周さんは三代目だ。端からは全く分からないボディーガード。劉家とのつながりは決して綺麗事ばかりでは無いのだ。


秀美「優くんは良いの?」


「そりゃもちろん優にもお願いしたいところだけど…おい!秀美、何考えてる?」


秀美「さっすが先輩(笑)…優くんには良いボディーガードを用意するわよ~」


「まさか…それが秀美のお嬢さん?」

秀美「ふふん(笑)すんごい美少女よ~ちょっと思考が短絡的というか…ゴリ押しでなんとかなると思っているふしがあったりするけど(汗)」


俺たちに変わって、子供たちを結婚させたいって…あれマジで考えてんの!?


「…」

秀美「…(笑)」


「…ゆうの気持ちは大事にしてやってくれよ?」

秀美「分かってます」


「…で?お嬢さんの名前は?」


秀美「あの娘の名前は秀世ひでよ…劉 秀世ひでよよ」

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