第2話 絶世の美少女天使が降臨!…好戦的だった

達也「まずいよ優くん。君と美幸幼馴染みちゃんは、完全にしてやられている」


「…どういうことですか?」


ここは か~さんの元部下で親父とも親しい国見達也くにみ たつやさんと香緒里かおりちゃんご夫婦が切り盛りする、子供の頃から通っている「国見達也探偵事務所」。

…ある意味、親父よりも信頼している達也頼れる大人さんからの話は、最悪の内容だった。


達也「美幸ちゃんの相手の男、彼女の先輩にあたる"八木陽斗やぎ はると"と言う子だけど…相当な相手プレイボーイだな」



達也「君が美幸ちゃんのアパートで八木くんを見た際は、まだ何も無かったんだ。彼は彼女に貸していた医学書を引き取りに来た名目で美幸ちゃんを訪ねてきていただけでね。ただ彼は、君が目撃して無言で出て行った事で美幸ちゃんがショックを受けた事を最大限に利用した」


「…それって…」


達也「美幸ちゃんは既に彼に抱かれてしまっている。それも何度もだ。香緒里(達也さんの奥さん)に会いにいかせたが、美幸ちゃんはもう君に合わせる顔が無いそうだ」


「俺は…」


達也「八木くんと言うのは相当に評判が悪い。

女性を食い物にして…薬の噂まであるくらいだ。君が望むならば、俺たちはあらゆる手段を厭わずに君に助力する…ただ…」

「…ただ?」

達也「他の男に抱かれた美幸ちゃんを…君は許せるか?」

「……」


…分からない…


達也「許せるなら…さっきも言った…俺たちは全力でサポートする。ただな…少しでも許せないと思う場合は…再構築は地獄だよ。君も美幸ちゃんもね」


「こんな…こんな簡単に崩れてしまうんですか?俺たちずっと…子供の頃から姉弟みたいだったのに」


達也「恋人や夫婦はね…ある意味脆いんだよ。君の両親の三月みつきさんと沙織さおり先輩のところは、かなり特殊なんだ」


「…」


達也「…よく考えるんだ。別離も再構築も、どちらを選んでも多分後悔は残るだろう。どちらがより良いかを考えるんだ。その為に聞きたいことが出来たなら、俺も香緒里も幾らでも付き合うよ」


「ありがとうございます…達也さん」



国見達偵事務所からアパートへの帰り道。

あたりは既に暗闇に覆われている。


少しでも何か食べようと、スーパーで安売りの惣菜を買ったが、正直、食欲が無い。



…何でこんなことになってしまったのか…


あの日、サプライズで美幸のアパートに向かった俺は、美幸が男といるところを目撃して、アパートを飛び出した。「優くん待って!!」美幸が大声で追いかけて来るのを、俺はバイクで振り切ってしまったんだ。


あそこで美幸の話をちゃんと聞いておけば良かったのか?


そんなの…そんなの分からないよ!!



少女「ヒドイ顔ね。ちゃんとご飯食べてるの?」


突然だ。

微かな甘さを含んだ…爽やかな風が俺に纏わりついてきた…


「?…なんだ君は?」


少女「あなたが松濤館しょうとうかん空手の秘密兵器と言われた桂木優ね。大会には一切出て来ない…でも高校空手インハイチャンピオンでさえ一目を置いていたという実力、私に見せてほしいんだけどな…」


…信じられないような美少女!!

高校生ならではの余分なものが一切付いていないような、しなやかでスレンダーな肢体…

(画像)

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093089716026906


長い黒髪を風になびかせた、少しイタズラっぽい表情が若干の子供っぽさを醸し出す。

それでも十人が十人とも絶賛するであろう、素人離れした容姿の…お嬢様学校フ⚪リスの制服の短いスカートを靡かせた美少女が…何故か挑発的な瞳で俺を見つめている。


少女「…お手並み拝見よ?」

「…その短いスカートで何言ってるの?何やっても見えちゃうだろ!」

少女「な!?…エ、エッチ!!」


後に俺が背中を預けるパートナー…ムッツリ天然美少女、劉秀世りゅう ひでよちゃんとの…これが初めての遭遇だった。

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