第10話
そんなの。
「ヤダ。」
に、決まってるでしょう?
男に即答する。
恋だとか、愛なんて信用しない。
「恋愛ごっこは、私じゃない他の人として。」
冷めた目を向ける。
「くくっ、それは残念だ。」
そんな私にふっと笑う男。
絶対に、残念と思っていない顔で。
「…思ったんだけど、」
男が徐《おもむろ》に口を開いた。
「君、猫に似てる。」
・・・は?
「猫?」
首を傾げる。
「そ、誰にも懐かない野良猫。」
「…野良猫。」
「素っ気なさと良い、人に無関心な所が野良猫にそっくりだろ。」
そう言って男はクスクス笑う。
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