第17話

「伊庭さんって彼女いるの?」

絵里香はさり気なく聞いた。

「僕には婚約者がいます」

伊庭のその言葉で、カーステレオから流れていた音楽が止まった。

「……そうなんだ。どんな人なの?」

絵里香の胸中に鋭い痛みが走る。

「優しい人です」

伊庭は何となく嬉しそうである。

その表情から彼女への愛が感じられる。

絵里香はキツく目を閉じた。

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