第16話
劇団時計坂での演技指導もドラマのものになった。
演出家の田村は多忙のため、週に2度絵里香の練習を見る事になっている。
それ以外の日は伊庭と2人の稽古である。
この日も過密スケジュールの為、演技練習は夜9時からになっていた。
絵里香はヒロインの親友として、ヒロインと同じ男性を好きになってしまう。
「表情がなってない!親友と同じ相手を好きになってそんな甘い気持ちの訳がないだろう!」
伊庭は思わず声を上げた。
伊庭は普段は穏やかで物静かである。
だが演技練習の時は、一切の妥協はない。とても厳しかった。
「もっと切なさを表現しろ」
「ただ台詞を言うのではなく、演技で見せるんだ」
「そこはもっと感情的に」
伊庭は声を張りあげる事が出来ない。
声帯が弱いので、声を抑えている。
絵里香は必死に伊庭に付いて行った。
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