第10話

「お腹ペコペコだったの……!」

絵里香の目が輝いていた。

初めての演技練習は決して上手に出来たわけではなかった。

だが女優への大きな一歩である。

16歳でデビューして3年、絵里香は新たな道を歩き出したのだ。

ハンバーガーショップで、絵里香は照り焼きバーガーをパクついていた。

2人掛けの席に、絵里香と伊庭は向かい合わせに座っていた。

「疲れたでしょう。出来そうですか?」

「もちろんよ!」

「いつから女優になりたいと思っていたんですか?」

「玖賀真理子さんのドラマを見た時から。デビューしてすぐの頃よ」

「そうだったんですか」

「伊庭さん、ありがとう」

絵里香は初めて伊庭に礼を言った。

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