第2章 新しい下宿人

第26話

野球部は準決勝から先には進めなかった。

また来年の甲子園を目指して練習を積む事になる。


お盆の時、下宿人達はそれぞれの故郷に帰るため、久々に母と2人きりだ。

父の墓に2人でお参りした後、ざるそばを食べる為にそば屋へ行った。

「お父さん、ざるそばが好きだったから」

元々は夫婦で古いアパートを買って下宿を始めたのだ。

父は普通の会社員、母は専業主婦である。

下宿するのは男性だけと限定したのも夫婦で決めたのだ。

心結が7歳の時の事だった。

下宿人達は学生が多く、母は下宿人達の母代わりになった。

心結と遊んでくれた人も多くいた。

父が亡くなったのは2年前の冬である。

事故だった。

母は下宿を畳もうとしたが、下宿人達に勇気づけられ続ける事にしたのだ。

それから娘の事と下宿をする事が母の生きがいになった。

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