第25話

「俺、入学した時から、ずっと荒木が好きだった。この大会が終わったら俺と付き合って欲しい」

突然の智樹からの告白だった。

奈緒はドキドキしていた。

嬉しかった。

だが心結の気持ちを知っている。

心結はやっぱりまだ……

「それじゃ随分先になっちゃうね。甲子園に行くから」

奈緒はそう言って笑顔を見せた。

智樹はホッとしたように笑った。


「えー!そうなの?良かったねー!奈緒!」

心結は思わず奈緒に抱きついていた。

「ずっと好きだったものね」

「私、北見君と付き合ってもいい?」

「もちろんよ。ちゃんと付き合うのよ」

「ありがとう。心結もあの人と頑張ってね」


河原で心結は風に吹かれていた。

自然と涙が溢れ落ちる。

脳裏には奈緒の嬉しそうな顔が浮かんで来た。

これで良かった……

私は多分暖ちゃんを好きになりかけている。

この胸の痛みは恋の名残だ。

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