「そうか。心結ちゃん、やっぱり暖の事…… 」

「まだ自分で掴めてない感じだけど、恋してるのは確かだと思うわ」

泉野の部屋のテーブルの上で、菜々緒は頬杖をついている。

「暖ちゃんの方はどうなの？」

「彼奴は芝居に恋してる」

「同じ劇団の人でさくら荘まで来た人がいたんじゃなかった？」

「あーあれは向こうの片思いだよ」

「そうか」

「菜々。話浮かんで来たから」

「うん分かった。コーヒーでも淹れて来るね」

「小説家はまた打ち始めた？」

「そう。全く彼女が来ているって言うのにね」

菜々緒は苦笑いしながら、コーヒーを淹れている。

台所には暖希がいるので、暖希にコーヒーを出した。

「ありがとう。ああなったら2時間は止まらないんじゃないか？」

「そうね。これ持って行ったら帰ろうかな」

菜々緒はコーヒーカップとクッキーを乗せたお盆を持つと、再び2階へ上がって行った。

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