第20話

「うん。思った通り可愛いね」

少し時期外れだが、心結が着ているのは薄いピンクで胸元にピンクのリボンが付いているワンピースだ。

「私にはもう子供っぽいし、心結なら似合うと思った」

向坂菜々緒は泉野の彼女だ。

同じ大学で付き合い始めて4年になる。

心結の事も妹のように可愛がってくれている。

今はケーキショップで働いているのでよく余ったケーキを持って来る。

さくら荘の面々とも仲が良かった。


「心結、好きな人いるでしょ」

菜々緒は心結の顔を真っ直ぐに見つめた。

「暖ちゃん」

菜々緒に指摘されて、心結の顔が真っ赤になった。

「やっぱり」

「じ、自分でもまだよく分からなくて、この気持ちが恋なのかどうなのか…… 」

心結は狼狽えている。

「確かに北見君だっけ?友達と一緒に見てたもんね。でもそれは単なる憧れじゃないかな」

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